その③
◇ ◇ ◇
「いま考えればもっと雰囲気とかあったかもしれないけど、あの時のエドは誰よりもカッコ良かったし、この人を好きになって良かったって思えた瞬間だったなぁ」
彼のどこに惹かれたのかと尋ねられると答えに迷う――と言うか、自然と惹かれたと言うのが正しいので上手く答えられません。ただ一つ、自信を持って言えるのは彼と結婚して良かったと言うこと。いまでも喧嘩することはあるけど、あんなに素敵な旦那様は他にいません。
「運命、だったのかな……っ⁉」
「ソフィーさん……」
「いやっ、コレはね?」
「コウノトリのことと言い、ソフィー殿は何時になっても乙女だな」
「~~~~っ!」
思わず口にした本音に顔が熱くなり、そんな私を二人はニヤニヤと見つめます。それにしてもアリサさんは意地悪です。
「ソフィー殿」
「もぅ、なんですか」
「これからもエドとは仲良くやれよ」
「……分かってますよ」
さっきまで茶化してた人とは思えぬ真面目なトーンのアリサさんを前に口を尖らせる私はコップに残っていた葡萄酒を飲み干します。数年前なら信じられないけど、少しだけお酒に耐性が出来たのでこの程度なら酔いが回ることはありません。それでも今日はなんだか酔ってしまっているようです。
サラちゃんを迎えて初めての大樹祭。まさかあの時の話をすることになると思ってなかったけど、いまのところエドはあの時に交わした約束を守ってくれています。それはこれからも変わりません。これからもずっと、エドは私の大切な旦那様です。
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