その②
◇ ◇ ◇
『ねぇ、エド?』
『なんだよ』
『エドは何処にも行かないよね』
あの日、アリサさんを見送った私はそう言って隣にいるエドの手をギュッと握りました。この人とは離れたくない。そんな思いから握った手を彼は痛いくらい強く握り返してくれました。
『安心しろ。ずっとおまえの傍にいる』
『約束だよ?』
『分かってる――なぁ、ソフィー』
力強い、どこか決意じみた声色で私に呼び掛けるエドは大きく深呼吸すると、握っていた手を放しました。そして私と向き合うように立ち位置を変え、これまで見たことのないすごく真剣な表情を見せました。そっか。私も勇気出さなきゃいけないんだ。
『ソフィー。話がある』
『私も話があるの』
『俺から言わせろ』
『ダメ。私が先に言う』
『こういうのは男が言うもんだろ』
『エド?』
いつもなら私に順番を譲ってくれるはずなのに、今日は絶対譲らないって顔してるね。でも良かった。彼の決意に安心した私は笑顔で順番を譲りました。
『わかったよ。エド。先に言って良いよ』
『良いのか』
『うん。その代わり――』
『なんだよ』
『後悔させないでね?』
これが私の答えだよ、ってエドにこの意味が分かるのかな。
『おまえ、いま俺をバカにしただろ』
『そんな訳ないでしょ。それで、話ってなに?』
『ソフィー。これから先も一緒にいてくれるか』
――――はいっ!
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