第12話 対決! 火炎将軍
火炎将軍は勝ち誇ったように笑った。
『ガハハハ! 仲間の魂は食っちまったぞ。次はおまえだ化けダヌキぃ』
考えろぉ……。
僕が負けたら、みんなの魂が帰ってこない。
そればかりか、僕の魂だって食べられてしまうんだ。
僕のカードは四枚だ。
石、跳ねる、水、飛翔。
これらを使ってあいつを倒す。
相手を分析すると、火炎将軍は素早い動きができて防御力が高い。口から強力な炎を吐く。
たしかに、今まで戦って来た妖怪より強いだろう。
さっき、当てたタヌキ隕石は通用しなかった。
跳ねる、からの石攻撃。火炎将軍の背中に当たったんだけどな。
ダメージはあったみたいだけど、あいつは元気満々だった。
甲冑を着ているから防御力が高いんだ。
あの甲冑を破壊するほどの力があれば……。
そうか!!
「やーーい! おまえはこんな小さなタヌキを倒せないのかよーー!」
『なにぃいいいいい!?』
「悔しかったらお得意の炎で燃やしてみろってのーー!」
『ぬぁああああ! 生意気なタヌキめぇえ! お望み通り、炭と変えてやるわぁ!! 拙者の大火炎を喰らえ!!』
ボォオオオオオオオオオオオオオオオオッ!
来た! 口からの火炎噴射。
「僕だって!」
葉っぱカードを頭に乗せて。
ポンポコポン!
「水!」
ブシュゥウウウウウウウウウウウウウウッ!!
僕の水と火炎将軍の炎が衝突する。
すると、水が熱せられて蒸発。水蒸気になる。
理科の実験にならったからね。これが湯気の正体さ。
湯気は周囲を包み込んで火炎将軍の姿を隠した。
将軍は、僕の後ろをとったつもりなんだろう。
『グハハハ! タヌキめ拙者はこっちだ!!』
スカッ……!
掴もうとするも、僕はそこにはいなかった。
『なにぃい!? いないぞ!? どこ行った!?』
さっきと同じ手は食わないよ。
こいつは、湯気を目くらましにして、素早い動きで次の動作に移るんだ。
さっきは騙されて耳子と事典蝶の魂を食べられてしまった。
でも、今回はそうはいかない。湯気で隠れて移動していたのは僕の方なのさ!
僕は【跳ねる】のカードで空高く飛んでいた。
でも、このカードで飛べるのは十メートルくらいなんだよね。
だから、新しいカードを使う。
ポンポコポン!
「
鷹太郎を倒した時にゲットした空を飛ぶ能力のカード。
さぁ、どうやって空を飛ぶんだ?
すると、僕の体は浮き上がる。
プルプルプルプルプルプルプル!!
おお! 成功だ! 飛んでる。
ドンドン高く浮上するぞ!
プルプルプルプルプルプルプル!!
でもさ。
この音はなに!?
なんだかお尻がムズムズするような……。
「ええええええ!? 尻尾が回転してるぅうううう!?」
タヌキの尻尾がプルプルってさ。ヘリコプターのプロペラみたいに回っているんだ。
プルプルプルプルプルプルプル!!
うわぁ……。まさかの飛行方法だったな。
まぁ、空を飛んでいるからいっか。
もう十分に高い、そろそろ解除して……。
「落下だ!」
三十メートル以上あるかも。
ビューーーーーーーーーーーーーン!
タヌキ隕石は十メートルくらいの高さからの攻撃だった。
だったら、この高さならどうだ!?
倍以上の高さからの落下攻撃だぞ。
ポンポコポン!
「石ィイイイッ!!」
名付けて、超タヌキ隕石だぁああ!!
『な、なんだ、この音は……!? う、上から聞こえてくるみたいだが?』
と、火炎将軍が空を見上げた時は遅かった。
『ゲッ! タヌキ!?』
僕の体は火炎将軍にぶち当たった。
ドカァアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!
『ぎゃあああああああああああッ!!』
超タヌキ隕石の威力はすさまじかった。
まるで、本当の隕石が落ちたみたいにクレーターを作ってしまう。地面がベコって凹んで火炎将軍は土の中に埋まっちゃったよ。
石を解除っと。
突然、火炎将軍の全身が青白く光ったかと思うと、連続して火の玉が飛び出した。ニ十個くらいあるだろうか。
「もしかして……」
僕は火の玉の行方を追う。
ほとんどは村の方に向かって飛んで行った。
そして、二個の火の玉が、それぞれ耳子と事典蝶の体に入った。
『う、うううん。あれ? なんか寝てたピョン』
『……わ、私たちは火炎将軍に魂を抜かれて……』
やった!
生き返った!!
「耳子! 事典蝶!」
『あれ? もしかして、火炎将軍に勝ったピョン!?』
『あ! 見てください耳子さん。穴の中に倒れているのは火炎将軍ですよ!』
『うわ! 本当だピョン! 大助が勝ったんだピョン! すごいピョン!!』
耳子は僕を抱きしめた。
『大助ぇええ! 助けてくれてありがとうだピョン!』
「ははは。助かって良かったよ」
『大助さんすごいです! あんなに強い火炎将軍を一人で倒してしまったんですね』
「うん。なんとかね」
『流石は大助だピョン! どうやって倒したピョン!?』
「あ、うん、それはね……」
って、あれは!?
それは光り輝くカード。
クレーターの中からフワフワ浮いて僕の方へとやって来た。
『邪妖気が無くなったから、かーどの贈呈が始まったんです』
「やった! 新しい葉っぱカードだ」
どんな文字が書かれているのかな?
【炎】
おお!
これは読み方がわかるぞ。
「
『そうですね。メラメラと燃える火のことです』
「じゃあ、火属性の能力が使えるってことだね」
『ですね!』
うは! また強くなったぞ!!
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