第8話 妖怪 鷹太郎
鷹太郎は空をビュンビュンと飛ぶ。
背中から生えている大きな翼をバッサバッサとはためかせて。
『大助さぁあん! 助けてくださぁあい!』
捕まっているのは事典蝶だ。
なんとか助けなくっちゃ。
『事典蝶の鱗粉は良い薬になるからな。クハハハハ!』
おいおい。
仲間を薬にされちゃあ困るよ。
「事典蝶を返せ!!」
『クハハハ! タヌキではここまで来れまい! クハハハハ!」
10メートル以上はあるぞ。
あんなに高い敵にはこのカードしかないな
タヌキの
ポンポコポン!
カードの漢字を読み上げる!
「跳ねる」
ピョーーーーーーーーーーーーーン!
ウワッ!
高っ!
でも、追いついたぞ!
『なに!? タヌキのくせに飛べるのか!?』
「ジャンプしただけだ! 事典蝶を返せ!!」
と、手を伸ばしても届かない。
『クハハハ! 飛んだはいいが、その短いタヌキの手足では届くまい!』
ダメだ、落ちる!
僕は地上に戻った。
『事典蝶を返すんだピョン!』
耳子も僕と同じようにジャンプをしていた。
でも、鷹太郎の空を飛ぶスピードが速くて捕まえることができない。
体を触れないんじゃ攻撃できない……。
石のカードでもダメだし……。
そうだ!
この新しいカードならどうだ!?
『クハハハ! それでは事典蝶はいただいていく! すり鉢で潰して薬にしてやるわい』
そうはいくか!
ポンポコポン!
「跳ねる!」
ピョーーーーーーーーーーーン!
よし、高さは合ってるぞ。
『クハハハ! 何度やっても
「それはどうかな?」
葉っぱカードを頭に乗せて、
ポンポコポン!
と、
使うのはこのカードだ!
「水!」
すると僕の口の中からピューーっと水が出て来た!
すごい!
消防車のホースみたいだ!
火事の消火をする時みたいに勢いよく水が出るぞ!
その水は鷹太郎に命中した。
『ぬぐぅッ!!』
『すごいピョン! 河童の時に獲得した、水の葉っぱかーどだピョン! 水の攻撃なら遠くの敵にも当たるピョン! もう応用しちゃってるピョン! 流石は大助だピョン!』
空中で体勢を整える鷹太郎。しかし、バランスを崩してしまう。
『ぬぬ! つ、翼が重い……!』
ふふ。水で濡れたから重くなったのさ。
『ダメだ。飛べぬ!』
鷹太郎はそのまま落下した。
『ぐわぁあああああ!!』
そして、地面に激突する。
『ぎゃああ!』
よし! 上手くいったぞ。
僕と耳子は鷹太郎の前に立った。
「さぁ、どうする? まだ、重〜〜い、石のカードが残っているんだけど?」
『ふふふ。ピョン!』
『ヒィッ! こ、降参だ! もう悪いことはせんから許してくれ』
やった!
退治成功!!
『やったピョン! 空を飛ぶ妖怪を倒しちゃったピョン! 大助はすごいピョン!』
『大助さん、助けてくれてありがとうございます! おかげで薬にされなくて済みました』
「助かって良かったよ」
事典蝶が薬になったら泣いちゃうって。
僕の目の前に、光るカードが出現した。
そこには【飛翔】の漢字表記。
えーーと、これはなんと読むんだろう?
『新しい葉っぱかーどですね。【
「鷹太郎が空を飛んでいたから……。もしかして、空を飛ぶって意味?」
『ええ、そうです。このかーどを使えば自由に空を飛ぶことができるのです』
「おおおお!」
空を飛べるなんてすごいや!
鷹太郎は自分の翼から一枚の羽を抜いた。
『この山を降りる時に【妖怪茶屋】がある。そこの【のっぺらばばぁ】にこの羽を渡せば良い物がもらえるぞ』
そう言って羽をくれた。
ふぅむ……。妖怪茶屋にのっぺらばばぁ。
聞き慣れない言葉が並ぶなぁ。
とりあえず、良い物がもらえるんなら期待していいかな。
「ありがとう」
『迷惑をかけたお詫びだ』
僕たちは鷹太郎と別れて鷹見山を降りることにした。
これで葉っぱカードは四枚になったぞ。
石、跳ねる、水、飛翔。
僕は小さなタヌキだけれど、ドンドン強くなっていくな。
もしかしたら、これだけあれば天狗を退治できるとか?
うーーん、それとも、もうちょっとカードを集めようかな?
考えるのも楽しい。まるでゲームみたいだ。フフフ。
『ねぇねぇ。大助ぇ。妖怪茶屋に早く行くピョンよぉおお!』
「なんか嬉しそうだね』
『だってだってぇ。妖怪茶屋だもんピョン。ニヘヘェ』
……妖怪茶屋には耳子が喜ぶ物があるのか。
「ねぇ、事典蝶。妖怪茶屋ってなんなの?」
『
ああ!
「レストランとか、喫茶店みたいな所だね」
『な、なんですか、それは??』
「あ、そっか」
ここは江戸時代だった。
ファミレスとかカフェと言っても通じないよね。
「えーーと、レストランっていうのはね。色々な料理が売ってる店なんだ。ステーキとかカレーとか、なんでも食べれるんだよ。甘いデザートもあるんだ」
これには耳子が反応した。
『甘い物ピョン!?』
「うん。クリームソーダとか、チョコレートパフェとかさ。色々あるんだ」
『ほぇ〜〜。聞いたことないお菓子だピョン。大助は食べたことあるのか?』
「うん。全部あるよ」
『いいなぁ〜〜。耳子も食べたいピョン』
「ははは。僕の住んでた世界に行ければ食べれるんだけどね」
『くりぃむそぉだ……。ちょこれぇとぱふぇ……。じゅるり……。美味しそうだピョン』
「ふふふ。耳子は食いしん坊だな」
『耳子は甘い物が大好きなんだピョン!』
『私が知らないお菓子ばかり。大助さんって色々なことを知っているんですね!』
「ははは……。まぁ、未来から来たからね」
まぁ、ここにはないお菓子だからな。
「じゃあ、その妖怪茶屋に行こうよ。お菓子が食べれるんでしょ?」
『行くピョン! もう、お腹が減ってきたピョン!!』
しばらく歩くと小屋が見えた。
そこに赤い旗が立っていて、そこには【団子 お茶】と書かれていた。
あれが妖怪茶屋か……。
えーーと、たしか、のっぺらばばぁ、が経営してるんだったっけ。
どんな妖怪なんだろう?
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