暗闇の中で

 闇が、闇だけが広がっている。自分はそこを漂っている。冷たくも、温かくもなく、ただ水の中に居るような浮遊感と、重さを漠然と感じている。

 ここはどこだろう。自然の中ではきっとないだろう。

「     」

 奇妙なほどに落ち着いた思考が導き出したのは、そんな冗談めいた答え。

 本当にそうだとしても、恐れはなかった。後悔らしい後悔もない。為すべきことを為した。寧ろ満足感さえある。

 微睡にも似た感覚の中で浮かんだ、そんな考えに対して疑問を抱いた。

 まるでそうしてはいけない、出来ない理由が何かあるようだ。

 ふと体が重くなる。圧し掛かられているような重みであり、下から引っ張られるような慣性の重みでもある。

 如何様にでもなればいい。

 ただ身を任せた。

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