言葉にした約束は、言葉にならないほど大切だったから

一年に一度の夏祭り。
その一日のうちのほんのひと時。
その時にだけ会える〝お兄さん〟を慕う少女。
彼女の行く末を描く物語です。

〝……来年のお祭りに。もしも君が忘れてなかったら〟
〝忘れません〟

お兄さんとの不思議な約束は重なり、思いは募ります。

名前は最も短い呪いだと言います。
唱えれば心を動かす。
それはとめどなく繰り返し縛りつける。

〝お兄さん〟と心で呟き続けてた少女は、その思い一途に自らの心を縛りつけたのでしょうか。

果たして。
少女は何を捨てて、何を得たのか。
誰が誰を得たのか。
凄まじさと、密やかな狂気をはらむ思いを
物語は静かに書き出します。

終わりゆく夏に、一心の恋と想いの怖さを描く恋物語。必見です。

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