夏祭りの記憶が繋ぐ、切なくも優しい……甘い毒
- ★★★ Excellent!!!
幼い頃の夏祭りの記憶から始まる、切なくも温かい前半。主人公と謎めいたお兄さんの関係性は、一度触れたら忘れられないほど繊細に描かれており、時間の経過とともに深まる絆が胸を打ちます。
日常のささやかな風景と、少しだけ非日常的な空気感が絶妙に交わり、読者は物語の世界に自然と引き込まれます。
孤独、約束と成長を静かに感じられる作品で、読み終えた後も心に驚愕と余韻が残り甘い毒を飲んで微睡むような気持ちになります。
大切な人との記憶や時間は支えにもなり、蔓草のように絡まる執着にもなる……。
しかし、愛とはこれが理想な気がする。
片方だけでは成り立たないもの。