第41話夢の話題7

 二人は小指を絡めた状態のままである。


「その前に、この状況で誰か来た時に言えるように上手い言い訳を考えた方がいいと思いませんか?」


「はい。別にやましい事をしている訳では無いし、後ろ暗いところもない、不順異性行為でもないから、特別に言い訳をしないで正々堂々とありのままを正直に伝えれば良い。ですかなるほど、流石せ〜んぱいは清廉潔白ですね。ですが、世の中には話が通じない人もいるんですよ。そんな人たちを正面から相手をするととてつもなく疲れてしまいますから」



「はい。それなら、言い訳を幾つか出してくれるんですね。

 先ず、指が痒かったから、掻いてもらっていたですか。この言い訳の弱点は自分の逆の手で掻けばいいと指摘される点ですか。

 次案は、そこに手があったから指を絡めた。コレはイギリスの伝説的登山家であるジョージ・マロリーの言葉のパロディってバレバレって言われるんですね。

 更に次案は小指相撲がしたかったから。そんな競技は無いと一蹴されるのが目に見えているんですね。

 良いじゃないですか、誰か来たら、その場で小指相撲を始めましょうよ。そんな競技が無いって言われたら、新規開発中の競技だって言いましょう」




 結局、その後、誰も来なかったので、二人は数時間小指を絡めていた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

帰宅時間。


「今日はせ〜んぱいとずーと指を絡めていましたから、もう自分の指なのかせ〜んぱいの指なのか分からなくなっちゃいましたよ。そのせいで上手くバランスを取って歩けなさそうです。あー、せ〜んぱいが私の手を繋いで上手くバランスを取ってくれると嬉しいんですけど」


 先輩が後輩の要望を実行に移す。


「いいんですか? 校内で手を繋いで歩いて居たら噂になっちゃいますよ?」


「寧ろ、望む所だ、ですか。ありがとうございます。優しくて格好良くて、せ〜んぱい、大好きですよ」

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