本戦-6 暴走の行く末
第三試合は『産業革命』vs 篠眉忍軍。投げられたチャクラムは撃ち落とされ、埋火達は走り回る車椅子で漢解除。鎖鎌は──華麗に避けられた。古臭い陰の住人はイマドキの兵器の前には敵わなかった。
『準々決勝 第四試合が終了しました』
そして、第四試合。
『宇宙戦記の勝利です』
「ロボ勝ったーーっ!」
>おめー!
>BaDにも勝ったかぁ
>つよ…
>シェリーらが不意打ちで殺したのが可哀想に思えてくる
>死人に口なしやで…
最後は口内への無反動砲連打でEND。準決勝のカードは以下の通りに。
──
準決勝
第一試合
[昆布巻き vs ハテミル]
第ニ試合
[産業革命 vs 宇宙戦記]
──
「んっ〜〜っ……休憩は終わりや終わり。もう気は抜かれへんよ」
水分補給完了。柔軟体操で最終調整。何度も伸び縮みする腕と寿命を酷使するにはこういった細かな安らぎが欠かせない。
「私はいつだって本気」
>そうかな…?
>そう、かも…
>どっちが本気なのかわからないのでNG
「……?」
「ごめん視聴者共アリサに関してはそういうものだと思って受け入れて欲しいかな」
>アッハイ
>サーイェッサー
>り
「いつもは可愛いんよ……でも戦いとなるとなぁ…」
「よくわからないけど……とりあえずシェリー殴る」
>えっ
>草
>まーたシェリー戦闘外でダメージ受けてる
神速八つ当たり。肉体を能動的に痙攣させたまま叩き、振動を浸透させることで内部から痛みを与える無駄に洗練された無駄のない無駄な妙技。仮想世界では痛み以上に不快感が半端ではない。
「げぶぁっ!?」
>拳が骨まで達した音!
>これが噂の无二打か…
>違うが?
腹をグルっと回る不快感。システム外ダメージに悶える
「やめたりぃよ…」
>この目、唆るぜ
>唆んな
>変態さんですね……
「うぉぇぇぇ……げっふ…」
>こっち酒飲んでんだけど
>フルダイブ酒は酔えないからなー
>ツマミだけ食ってる
「おま、えぇら…ぐぅぅぇっ…」
「なんでシェリはんすぐ死んでしまうんやろ」
>人の事言えないでしょアナタ
>ファインダーちゃんもすぐ死ぬじゃん?
>無敵と食いしばり持ってるやつがよく死んでる不思議
『まもなく準決勝 第一試合を開始します』
「ほらシェリー起きて。シャキッと」
「誰のせいか一回振り返ってみて…?」
犯人に助け起こされる被害者。FFは愛の印。多分。きっと。それだけの
「……視聴者のせい?」
「アリサじゃいっ!」
>自然な責任転嫁されたわ
>俺は悪くねえ!
>シェリ子が悪いんだよ
「違うが!!!!」
怒りに任せて[Ready? YES/NO]をプッシュ。許諾された
>ほんとかなぁ…
>まぁ今回はギリギリ悪くない
>それでもちょっと悪いのか…w
『準決勝 第一回戦 昆布巻き VS ハテミル』
『FIGHT』
「よぉ、って……俺らのことは知らないか」
3on3で向き合った場所は珍しく碧海──の上に浮かぶ帆船の上。左手を腕鎧で覆い、派手な赤いコートと羽根帽子を被った男が気さくな様子で声をかけてきた。
「………誰あれ?」
それに見覚えのないシェリーはファインダーに耳打ち。無言で首を横に振る。効果は今ひとつのようだ。
「じゃ……アリサは?」
今度はアリサにアイコンタクト。しかし理解していなそうだ。サードムーンを喚んでいつでも臨戦態勢になっている。
「ヨシっ知らない!」
なので開き直って前向き直しオファニエルすてんばーい。腕鎧の男は破顔して笑い始める。対して横の仲間は呆れ顔。
「だぁ〜っはは。そらそうだ」
「ロジャー、早く始めるよ」
「ウズウズしてる」
なおその仲間は両方女とする。同年代の……幼馴染的な。仲良しグループ、のような。視聴者達がついダイナマイトを懐から取り出しそうな。そんな仲の良さ。
>なんだかリア充多くなぁい…?
>これは爆殺しろというお達しか
>小僧、派手にやるじゃねえか
>まだしてないが
「そんじゃま"ハテミル"、一丁やりますかっ!」
男は腰からサーベルを引き抜き、快活に笑う。バトルの始まりは──ハテミルから。
「飛べ──グリフォン!」
突風に突き動かされたかのように両手槍が"飛ぶ“。羽を広げた大鷲のような
>加速一瞬で草
>槍のリーチでそれ振り回すのきついなぁ
>間合い狂うよな
>突きは嫌だ突きは嫌だ突きは……
「ただ速いだけやな」
そう言って少し身を翻がせ、最小限の動きで回避。カウンターを狙う姿勢…だったがアリサが割り込み。"横から弾き落とす"つもりだったサードムーンに、
>…?
>何が起こった…?
>俺も見逃しちゃったね
「っ…ぶない……!」
そして衝撃を受け止め押し返し薙ぐ。持ち前の機動力を活かして隙のないカウンターから逃れられたらしい。空振った剣の軌跡が空を斬る。
「見切られた…!」
「油断すんなクロ、見られたら防がれる」
「何よそのチートッ!」
>イチャるな
>裏山C
>いや流石だなとは思うがそれはそれとして爆発しろ
「──まぁまぁ落ち着きなって御三方っ!」
アクト・グラディアトル装備。アナザー・ブレイド発動。
「会話って隙だらけなんだぜーー!!」
「えっ」
>止めたぁ!?
>いやギャリギャリ言ってるが??
>あっまさか
なんの痛げもなさそうな涼しい顔で、ロジャーはこう告げた。
「悪いな。俺は"
「最悪ぅぅぅーーっ!!!」
固定打点の最も最悪な相手。それは同じくダメージを固定値で軽減する存在であり、今回の相手。
──
[フック]
カテゴリ:片腕鎧
ランク:IV
属性:無
特徴:自己再生/凝縮装甲/不屈強化/被累逆転
──
凝縮装甲によるダメージ軽減。その上での自己再生が行われるのに不屈強化でダメージを受ける度に軽減量は上昇。最後は被累逆転でKOスラッシュでフィニッシュ。死ぬまで耐えてぶっ殺すシェリーとは相性が悪すぎる。
>何がやばいか教えて?
>シェリーの攻撃が意味をなさない
>OK完全にやべーってことを理解した
「とにかくっお触りは禁止だぁーっ!!」
掴まれた剣を起点に格闘攻撃。蹴りを仕込んで仕切り直し、ファインダーとスイッチ。無敵の拳がロジャーの背を襲う。
「待て待て多対一は卑怯だろって!」
「卑怯もヘチマもありはせん!」
>卑怯とはいうまいな…
>不死切りするぞ
>それはシェリーにしてどうぞ
「はいソレ貰いまーす」
>うぜぇ
>ちょっと伸ばし棒入ってんの腹立つ…
>こっちの方がタンクらしいな
魂魄武装らしい黄色マントをハラリと舞わせ、ファインダーのラッシュをその布で受ける──と、ファインダーの拳には妙な感触が生まれ、甲高い金属音も鳴り始める。
「なん、やっこの……!」
「さぁねっ!」
マントに隠れた懐から取り出したるは短杖、先端の宝玉が輝いて魔力放出。毒々しい死色の魔法がシェリーを喰らう。
「ぅげぇーっ!」
「ウチやないん!?」
シェリーに灯る状態変化。その名は猛毒、最早お馴染みのDoTダメージ。しかも当然の権利のように猛毒ダメージは加速していく。
「──ヤバいこのままだと私死ぬぅー!」
>アリサ以外のメンバー大体死にかけてるよね
>バレ様…もそうかな…?
>そうだと思うけど
>昆布巻きに出てる時はそう
何時まで死ぬのを延長できるか。そして落ちたら死亡確定なこの揺れる船の上で如何にして踊るか。オフェンス特化とディフェンス重視の戦いは、初手昆布巻き不利で始まった。
〜〜〜
Tips ダメージ加算とか軽減とか
ダメージ追加:加算
ダメージ軽減:減算
ダメージ上昇:乗算
ダメージ減衰:除算
基本的に先に下の計算がされてから上の計算が足されます。
まぁ固定打点と同じ位置に凝縮装甲があるってお考えください
グラブルやってる人なら伝わる
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