君という存在の重要性

shiro

第1話

また地獄の高校生活が始まる。

高校2年生になる春

頑張って登校したが俺は早くも逃げ出したい。


だが、俺は逃げない。


そう思いつつどこのクラスかを見に行く。

俺の名前はどこにあるのだろうかと思いながら探しているとどこからか声が聞こえてくる。


「ねぇ、みてよあいつ犯罪者の子どもらしいよ」


「うわ、関わらないでおこうよ」


「怖すぎだろ」


俺が何したってんだよ

どいつもこいつも何も分からないくせに。


そう思い声のする方向をついつい睨みつけてしまう。


「うわ、こっちみてる」


「こわぁ、行こうぜ」


逃げるなら最初から言ってくるなよ。


そう思いつつ教室へと向かう。

教室には誰もいなかった。


俺の席は……窓際の1番後ろか


俺は自分の席に座り机へと伏せる


少し寝てしまってたのだろう。

辺りが騒がしい


「はい!皆さん注目!新しくこのクラスの担任になった…」


担任になったというのは邦樹くにきという女教師だった。


「今日は転校生を紹介するから静かにしてねー。」


担任の入ってきてという一言と共に転校生はクラスに足を運んでくる。


「初めまして!古沢花蓮こざわ かれんって言います!よろしくお願いします!」


自己紹介の後囲まれた転校生は少し困りつつも質問に答え続ける。

クラスの大半は転校生へと群がる。


俺が少しでも転校生へと近付けばまた、犯罪者の息子と言われて罵られるんだろうなと思いつつ眠りにつく。


俺は誰とも仲良くなる気は無い。

去年と同じで1人でこの空間を耐え抜くだけだ


そんなことを考えていると右肩をつんつんと触られる


なんだよと思い少しだけその方向に視線を上げる


そこには転校生が立っていた。


俺は再び視線をおとして眠りにつこうとする。


つんつん


また肩を触られる。


無視だ。無視を続けよう


つんつん


「あーもう、なんだよ」


痺れを切らした俺は顔上げて転校生を見つめる。


「私隣の席になった古沢 花蓮!よろしくね!」


「それがなんだよ」


「なんだよってなによ!仲良くしましょお隣同士でしょ!」


俺が、仲良くする気はないと言おうとすると近くにいた男が話に入ってきた


「古沢さんやめときなよ、そいつ犯罪者の息子だぜ?」


またそれかよ


「犯罪者の息子なんて同じ血が通ってるんだし同じく犯罪犯すに決まってるだろ」


耐えろ、俺


「えーと?誰かはしらないけど、あなたは今、音沢くんのこと侮辱したよね」


「え?」


話に入ってきた男が腑抜けた声を出す


音沢おとさわくん自身は犯罪を犯してないよね。なのにあの言いようって名誉毀損じゃない?それって立派な犯罪だよ」


この子は何を言っているんだ

なんで俺を庇う

そもそも、何故俺の名前を知ってるんだろうか。


「いやいや待ってよ、こいつは実際に昔学校で人のことを殴ったりしてるんだぜ?」


こいつの言う通り俺は昔学校で人を殴ったことがある。

だが、それは殴られたから殴り返しただけだ。


俺がいくら説明しても、聞く耳を持たれなかったがな。


「その殴った理由とかはちゃんと聞いたのかしら?」


「それは…」


「はーい、そこまでにしましょうね。小沢さんも山本やまもと君もね」


新任教師が仲裁に入る


山本という男も古沢という転校生もその一言で静かに席に座った。


その後は特に何事もなく授業が進んでいきすぐに昼休みのチャイムがなる。


転校生の周りは相変わらず人が多く寄り付いている。


俺は教室に居ても陰口を言われて飯が不味くなるのでいつも食べてる体育館裏に向かう。


「はぁ、本当にこんな退屈な学校壊れてくれないかな」


そんなことを呟きながら、スマホを片手に姉が作ってくれた弁当を食べていると1件のメールが届いた。


件名:退屈な日々を壊してあげるよ


差出人は不明なそんなメールが本当の地獄の始まりだった。


本当に壊れてくれたらいいな程度でメールに記載されているURLを押した。


              34人が視聴中

『本当にやるのかよ』


『ここまで来たらやるしかねえって』


小柄な男と筋肉質な男が言い合いをしている動画が再生される。


『でもさもしバレたら』


『大丈夫だって、あの人が絶対バレないって言ってただろ!しかも金も稼げるんだぞ』


『でもさ…』


そんな言い合いを聞いているとおかしな点に気付いてしまった。

こいつらが喋ってる後ろで微かに女のうめき声のようなものが聞こえてくる。


「これ、うちの体育館倉庫じゃねえか?」


「ていうかこれ、ライブか?」


匿名:言い合ってないで早くやれって

匿名おせえぞお前ら


『あっ、すみません!!すぐやりますので!』


『やっぱりやめようよ』


『だまれよ!!』


小柄な男が止めに入っていると殴り飛ばされる


匿名:おっ、仲間同士で殺し合いか?

匿名:素人にあるあるな展開だな

匿名:まぁ、俺たちからしたら見れるならなんでもいいんだけどな


こいつらなにをいってるんだ?

殺し合い?

いやいや、ありえないだろ


そんなことを考えている間に動画はどんどん進む


『ごめん、かけちゃんもう邪魔しないから』


小柄な男が泣きながら殴られ続けている。


有り得ないと思いつつももしかしたらという考えが過ぎり体育館倉庫へと向かう。


「二度と逆らうなよ!!早く殺るぞ!」


「わ、わかったよ」


動画から聞こえてきていた声が聞こえてくる。


俺は体育館倉庫の扉を開ける。


男二人と目が合う。

小柄な男も筋肉質な男も目を見開く。


「お前ら何してるんだ?」


「お前には関係ねえだろ出てけよ」


筋肉質な男が俺を追い出そうとする。

その後ろに女が縛られて放置されている。


「その後ろの女はどうする気だ?」


「あ?だから関係ねえだろ!!」


「かけちゃん、こいつ危険って有名なやつだよ」


「そんなの知るかよ!見られたからにはこいつも殺るしかねえだろ!!」


筋肉質な男がナイフを出してこちらに突進してくる。


「…は?」


襲われそうになり筋肉質な男から距離を取ると目の前で筋肉質な男の頭に斧が振り下ろされる。


「俺の頭、なんで、え?」


そういい目の前で斧が刺さったまま倒れる。


「か、かけちゃん?」


俺は死体となった男に近付き声をかけ続ける小柄な男には目もくれずにその後ろにたっている女を直視する。


ありえないとしか言いようがない身体能力で男の頭に斧を振り下ろしたのを俺は確認した。


縄をちぎり、どこにあったのかも分からない斧を手にアクロバットに頭に向かって斧を振り下ろし、気づかないうちに小柄な男の後ろに立っていた。


「かけちゃん、なんでだからやめようって言ったのに」


「は?」


目の前で小柄な男の首が落とされる。


あの刀どこから取りだした?


女の手には刀が握られていた。

その刀で小柄な男の首を落としたのだ。


俺はすぐに構える


“化け物”そんな言葉が良く似合う動きをする相手だ。

殺されるという確信はある。だが、簡単に逃げれるとも思わない。


こいつの目は常に俺を見ている。


「参加者ニナれ」


「参加者ってなんだよ」


女は俺のスマホを指さす。


その瞬間ピコンという音と共にメールが届く。

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君という存在の重要性 shiro @siro20060213

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