第6話

 てっきり何か大切なメッセージが記されたと思っていたのに、約50ページの小さいノートを開くとそこには約3行ほどの長さの日記が高校を入学したであろう日から書かれていた。


『4月6日 

 今日は高校の入学式だった。薫ちゃんとは高校は違うところになってしまったけれど、薫ちゃんみたいに部活に入ったり色々高校生にたいなことを頑張りたい。入学式では友達もできたしなんだか高校生活が楽しみだ。』

『4月7日

 今日はオリエンテーションだった。クラスで自己紹介をしないといけなかった。緊張して上手く話せなかったけど高橋くんが助けてくれて嬉しかった。高橋くんはバスケ部に入るらしくて誘ってくれたけどちょっと僕には厳しいかも。』

『4月8日

 今日は休日だったのでこれから必要になるノートとかの買い出しに行った。必要なノートが多くて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』


 何の変哲もないと言っては失礼だが、内容は極々平凡な日記で少し面食らう。

 約3行で1日のことが上手くまとめられた日記の内容に歩夢はこれを私に読んで欲しいのかと少し疑問に思いながら初めのページだけをとりあえず読んでパラパラとページをめくってみる。

 流し読みですらないが、どれだけの分量書いたのか気になった。

 ノートには折りたたまれた集合写真や、何かのレシート、お菓子の名前が書かれたメモなど間に挟まれたものも多く、なんだか生活感があり淋しいような微笑ましいような気持ちになる。

 几帳面におそらく毎日書いたのだろう。しかし、それは唐突に終わりを迎えた。

 あと数ページで、ノートが終わりそうだというところで日記は終わっていた。

 最後の日記には冬休みに入り課題がたくさん出たことなどが記されているだけだった。

 薫であればさておき、歩夢が途中で日記を書くことをやめてしまうとは。


「はっ・・・・?」

 少しの違和感を覚えながら最後のページまで確認しようとページを開いて絶句した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る