第5話
結局歩夢の家に着いたのは日も落ちてきた夕暮れ時だった。薫は学校にいる間手紙やノートのことで頭がいっぱいだった。しかしいざ歩夢の家の前までくるとどうしていいのかわからなくなる。インターホンを押して家に入れてもらえばいいのかもしれないが手紙を勝手に見せてもいいものだろうか。
どうしようか迷って思い切ってインターンを押してみたが応答がない。車庫の方へ行ってみると車がないのでどこかに出かけているようだった。
少しホッとして申し訳ない気持ちになりながら勝手に家に入らせてもらう。
玄関の前には変わらず大きな紫陽花の花壇が3つ置いてあった。そこの真ん中の花壇を持ち上げるとちょうど隠れるようにA6サイズの小さなキャンパスノートがビニールに包まれた状態で置かれたあった。
少し悪いことをしているようで居心地が悪いけれどノートがあったことに安堵して折れたりしないように鞄に入れて玄関を出て家まで走って帰る。
急いで家に帰って、ご飯やお風呂を済ませて自室に篭る。ベッドの上にあぐらを組んで座り、その前にノートを置いて睨めっこする。ノートには名前などは書かれていない某有名社のキャンパスのロゴが入ってあるだけである。
「どうしよう。」
呟いてみたもののどうしようもないためノートを勢いよくノートを開いて文字を読んでみる。
「どういうことなの・・・?」
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