10 面白いの正体を探れ

 はいどうも皆さん。ご無沙汰してます、もっちさんです。


 この似非エッセイはいつぶりでしょうか?


 だいぶ待たせてしまいましたが、一週間くらいは空いちゃったかな?


 はいそこの人、前回の投稿日時を確認しない。戻ろうとしない。


 まぁおおよそ一週間ぶりと言うことで、ツイッターで宣言した通り、こちらの内容でいきますね。


 その名も『面白いの正体を探れ!』となります〜〜パチパチ〜〜。


 さて皆さん、面白いという感覚について言語化が出来てます?


 あの映画、このドラマ、その漫画、どの動画が面白いと語れても、『じゃあ何が?』と問われると答えに窮してしまう。


 そんなケースが多いんじゃないかと。


 それは日々面白さについて熟考を重ねる、アマチュア作家の皆さんも同様ではないかと。


 しかしですよ、既にもっちさんは言語化に成功してます。


 ぜひご覧下さりませ。


 敢えて1行で語るならば『関心があり、願望が叶う内容で、1枚めくること』となります。


 これだけで理解した方は、以降の文を読む必要ありません。お疲れ様でした。


 星3つと感想欄に『素晴らしいであります、完全同意でござる!』とコメントして帰ってください。


 いまだピンと来ない方はどうぞ、引き続きお読みください。


 前述の一文を、実に分かりやすく、3ステップに分解してご説明しますね。



ーーーーー

▼1 生存戦略として成立していること


 見知らぬ作品を手に取ってしまうのは、なぜだと思いますか?


 そう聞けば返答は、暇だから、無料で読めるから、他にすること無いから等など、色々あるでしょう。


 ではもっと掘ります。


 なぜ人は空想や妄想だと知りつつも、物語を求めるのでしょうか。


 創作なんて所詮は作り話じゃないですか。作家の腹1つでどうにでも書けてしまう絵空事なのです。


 それでも名作にはこぞって人が集まり、胸を熱くさせ、時には頬を涙で濡らす。


 実在しない人々、世界、事象のドラマに胸を打たれて、心を激しく揺さぶられてしまう。


 さぁ、何故でしょうか。


 それはいわば、人間とは無意識的に『生存戦略』を求めているからに他なりません。


 その根拠として、自分の現状や立場、そして願望に近しいものを求めますよね。


 逆に、自分から余りにもかけ離れているものは、興味を抱きにくいです。


 少年漫画は少年が主役で、少女漫画も少女が主人公になりがち。


 異性主人公もあるけど、比率が反転することはまず無いでしょう。


 そして少年誌と大人雑誌でも、取り扱う作品が大きく異なります。


 単に暴力や性描写といった自主規制の問題ではなく、作風までも別物じゃないですか。


 一般論として、オッサンにエチエチ女子高生が迫ってくるのをギリ回避する話を見せても、反響はいまひとつでしょう。


 学んだところで使い道が無いからです。


 また、金の稼ぎ方や苦労を知らない子どもに、闇金ものを読ませてもピンと来ないはずです。


 それを今知ったとしても意味がないことを、本能的に理解してるからです。


 言い換えれば、『読者が現在目標としている事象と関連性がない』となりますか。


 逆に言うと目標に近いほど、生存戦略として採用され、関心となって現れます。


 例えば高校生くらいの少年少女であれば、学業だけでなく恋愛も経験したいでしょう。


 ステキな恋人が欲しい。しかしどうしたら良いか分からない。


 そこへ、恋愛テーマの作品を見せたら食いつくわけです。


 別にノンフィクションの内容を真に受けて、実行しようというのではない。


 ノンフィクションは作家のシミュレーションですから、学ぶのは『キャラの心情と行動によって導き出された結果』を知りたいのです。


 その蓄積が使えるのではないかと、そんな予感が関心に繋がっています。


 その理屈から言って、職場トラブルや闇金もの等は働き世代にヒットしやすく、不倫やら悲恋はパートナーの居る人に当たりやすい。


 皆さんは、そういった作品を手に取りながら『この前提でこう動くと成功(失敗)するらしい。そして末路はこうなるのか』という事を学んでいるのですね。




▼2 『こうなったら良いな』が実現されている


 生存戦略と合致すればOKかと言われると、まったくもって違う。


 それで済むなら誰も苦労しない。


 面白さには、願望の実現が必要不可欠です。


 たとえば一時期に猛威をふるった迷惑系の動画があるじゃないですか。


 あれも解析すると細かくなりますが、一言でいうと『押しちゃいけないボタンを押した』行為です。


 言ってみればモラルないし法律が抑圧となっており、それを突破する快感が面白いと解釈されたのでしょう。


 局地的で小さなクーデターとでも言えばよいでしょうか。


 彼らなりの『なったら良いな』を実現した訳ですね。


 もっとも、世間の大多数から共感は得られず、大顰蹙(だいひんしゅく)を招いたわけですが。


 さて話を戻しまして。


 『なったら良いな』を実現するのはマストであり、世の中にはそんな作品で溢れかえっています。


 注目すべきは『リアリティ』<『願望』という点です。


 例えば水戸黄門。


 悪代官を懲らしめますよね。たった数名乗り込んで、10倍以上の侍を打ち倒すのです。


 チャンバラ物の全てに言えることですが、達人とはいえ非現実的ですよね。


 仮に20人くらいが一斉に槍でも投げてきたら、達人でも返り討ちになってしまいます。


 もちろんそんな事やらない。話が破綻するし、その展開は誰も求めてないから。


 求められているのは『真面目に慎ましく生きてる人たち』が『私服を肥やす巨悪』を『正義サイドがぶちのめす』事です。


 さらに言えば『視聴者さん、悪いことしないで真面目に生きてるのは正しいですよ』という言葉を、物語を通して聞きたいのです。


 だからワンパターンでも毎回観てもらえる。


 視聴者は新たなドラマが観たいのではなく、悪党がとっちめられるシーンを観たいから。そして自分の人生を遠回しでも良いから肯定して欲しいから。


 それをベーシックに考えると、他の作品でも『なったら良いな』が見えてきます。


 仲間のために奮起して最後は圧勝して欲しいドラゴンボール。妹を無事救出して欲しいダンジョン飯。主人公に生還して欲しいバイオハザード。主人公の名推理で罪を暴きたい金田一少年。


 名作と呼ばれるものは、ちゃんと読み手の心理を予想しつつ、『なったら良いな』を物語と合致させながら展開させていますね。


 注意すべきは、世代や世情に大きく左右されるということ。


 だからニュースやSNSで、今何が求められているかを探求する心は、とても重要です。


 ストイックに技術を磨くことも良いですが、時には世間とふれあい、未知なるものに挑戦する姿勢も必要かもしれませんね。




▼3 二枚重ね構造


 ストーリーは変化させる必要があるらしいです。


 もっちさんが目にした創作論では『ストーリーは表と裏を用意せよ』とありました。


 表はスタート時点の目標、裏は中盤以降の目標と定義します。


 表だけ達成して終わるのは、たいへん好ましくないそうです。


 その理屈は分かります。


 たとえば、誘拐された令嬢をSPが救出する物語があったとして、人質奪還で終わるでしょうか?


 だいたい敵対組織が世界の破滅を狙ってて、生物兵器や核兵器を悪用しようとし、その企みを阻止したりしませんか?


 必ず大回りと言うか、深く掘った形になりますよね。


 それが前述の創作論では『裏ストーリー』であり、話を面白くするマスト要素です。


 でも個人的には、裏と言うより、一段下のレイヤーかなと思ってます。


 当初の予定では目標1を達成すれば完遂だったが、そもそも目標2を達成しなければ破綻するという。


 表裏ではなく、レイヤー1〜2としたのは、目標1を起点に掘るからですね。


 全く無関係のものを引っ張られても困るし、生存戦略として学べない。


 それで、なぜ表裏だのレイヤー12だの必要なのは『起承転結の転』であたるからです。


 レイヤー1だけで終始しちゃうと、『承』のあたりで読めちゃうんですよね。


 それで半ば予想された『なったら良いな』を出されても感動なんてない。


 ふぅん、あっそ。で終わっちゃう。


 やはり転の部分、レイヤー2に移動して『えっ、この話どうなっちゃうの!?』というスパイスは必須です。


 例えばドラゴンボールのナメック星。


 レイヤー1は『ドラゴンボールで仲間の蘇生』で、レイヤー2は『超サイヤ人に目覚めて悪を討つ』となります。


 レイヤー2を使わずに終えてしまうと、やはり感動は薄くなります。『悟空強いね、すごいね良かったね』というだけの話になる。


 カタルシスなんてほとんど無いわけです。


 レイヤー2に入ったトリガーはクリリンが殺されたことと、直後の超悟空化したことですね。


 その根拠として、レイヤー1の仲間復活を経ても物語は終わらなかった。フリーザと決着つけるまで続きましたね。


 そしてみんなの心に残るのはレイヤー2のシーンばかりです。仲間の蘇生なんて、サラッと表現されましたし、読者もそれほど印象に残していないでしょう。


 この事からも、レイヤー2の重要性は明らかだと思います。 


 さて、長々と語りましたが、名作とよばれる物語には必ず『認識や目標の大きな変化』が含まれています。


 ぜひアナタが好きな作品を解析してみてください。


 その行動こそが、面白いとは何かを知るために必要なプロセスとなります。



ーーーーー



 はい、いかがでしたか?


 面白さとは何かについて、素人なりに持論を述べてみました。


 もしアナタが作家になろうとしていて、しかし面白い作品が思い浮かばない時は、この似非エッセイを思い出してみてください。


 もしかすると、劇的に作品が改善されるかもしれませんよ。


 長くなりました、今回はこの辺で。


 以上もっちさんがお届けしました、ご精読ありがとうございました!

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そんなだから不幸なんだよ! 〜もっちさんと幸福について学ぶ似非エッセイ〜 おもちさん @Omotty

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