それぞれの道。

あの日、彼との関係が終わった日から早いもので5年が経った。


あれからしばらくの間は心に穴が空いたようで寂しかったが、就職活動が始まり寂しさを感じる暇もないほど、慌ただしく日々は過ぎ去っていった。

それでも私の日常には彼が教えてくれたことが散りばめられていた。


20歳の誕生日の日。

携帯電話が通知を知らせた。

そこには見慣れた懐かしいアイコンと名前があった。

『20歳の誕生日おめでとう』

ありがとう、と成人式の前撮りの写真を添えて返信した。


それから少しずつ連絡を取るようになり、今では同志として関係を築いている。

今でも彼から教わることはたくさんあって、彼もまた私から学ぶものがあると言ってくれている。


私はやりがいのある仕事に就けて充実した日々を送っているし、彼も人生のパートナーを見つけ幸せに暮らしている。


あの2人で過ごした短く濃い時間がなければ、きっと今の私たちの幸せは実現しなかっただろう。

お互いに感謝の気持ちを忘れずに、それぞれの人生を歩んでいく。

例え道が交わらなくても、そこには揺るぎない幸せと明るい未来が待っているはず。

そう信じて、私は今日も青空のもとを歩いていく。

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