13世紀に実在した検視官が怪事件の謎を暴き立てる!
- ★★★ Excellent!!!
女性でありながら軍人として前線で戦い続けた美月。しかし、ある日の戦いで彼女は片目を失い軍を去ることに。失意のまま故郷に帰り何もすることなく日々を過ごす美月の下に、都の高級官僚から登用の報せが届く。彼女を呼びつけたのは検屍を特技とする提刑官・宋慈。彼の指導の下、美月は都で起きる数々の殺人事件に挑むことになる。
中華風ミステリーは以前から人気のジャンルではあるが、本作の面白いところは架空の時代や国を設定しているのではなく、13世紀の南宋という現実の土地と時代を舞台にしており、さらに探偵役となる宋慈も世界初の本格的な法医学書『洗冤集録』を記した実在の人物なのだ!
思わず目を逸らしたくなるような凄惨な死体を前にしても、けろっとした顔で冷静に分析を行い、困惑する人々の前でズケズケと真相を解き明かす宋慈。一見冷たい人間のようにも思えるが、その裏では冤罪を許さないという強い使命感が燃えており、軍人以外の生き方を知らない真面目な美月との組み合わせが大変いい味を出している。
登場する死体も刃物によるものから、焼死体や溺死体、首吊り死体などバリエーション豊富。宋慈はこれらの死体といかに向き合って、どのように真相を見出すのか? 一話一話の分量も程よく収まった短編集で、中華ミステリーが好きな人は要チェックですよ!
(「歴史を感じる4作!」/文=柿崎憲)