第52話 保たれる距離
「え? えっと……」
「だから、
急展開についていけないのは
そこでは
「な、何かあったの? 大丈夫?」
「ええ、大した問題じゃないわよ。
何かを言う間もなく
しかし、
もちろん助けて貰えたことに感謝はしているが、疑問の方が勝ってしまう。
なんで……って、待てよ? あの噂ってクラス内だけで完結していたのか? そんなことは無いのかもしれない。そんな誰もの気を引く内容でもないからそこまで広がらないと思っていたが、隣のクラスで広い人脈を持っている
もし
「ね、ねえ
「え? ああ、うん、特に隠すようなことでも……」
無い、のだろうか。いや、違うな。
信用できる人になら何を言ってもいいというわけではない。言えばこちらは楽でも、告げられた側は困るかもしれない。友人同士でも秘密があるのは、そういうことなのかもしれない。
「いや、止めておく。たぶん言わないほうがいい」
「そっか。分かった。聞かないようにする」
なんて素直に引いてくれる友人を持って、幸せなのかもしれない。
本体なら一人ぼっちの俺の手を引いてくれる、誇れる双子と頼もしい幼馴染。
もしかしたら俺は数日の間にあった出来事の数々に、多くを望みすぎていたのかもしれない。二兎を追う者は一兎をも得ず。頑張りすぎて足を滑らせるくらいなら、俺はもう踏み出さないことを選ぶべきなのかもしれない。
「でも、もし辛かったら言ってね。お話は聞いてあげられなくても、やって上げられること、色々あると思うんだ。好きなご飯を作ってあげる、雰囲気のいいカフェを教えてあげる、優しく撫でてあげることも……うん、出来る」
「私でよければ、幾らでも甘えてくれていいからね」
「……止めておく。俺も、子どもじゃないし」
ダサい。何が、子どもじゃないし、だ。ガキ臭いにもほどがある。余程滑稽に映ったのだろう、
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