第14話 幹部会

 「てめぇ、どういうことか説明しやがれ!」

 「ええ、説明なさい。どうして怪人を殺し魔法少年を助けたのか」

 「説明、必要」

 

 またしても幹部に召集を受けた俺は、先日の件で問い詰められていた。その日の内に呼ばれなかったのでバレていないと思ったのだが、違ったらしい。


 「説明もなにも……」

 「俺は前回てめぇに言ったよな?今度何かあったらサンドバッグにすると」

 「聞きましたよ。でも、今回に関しては相手が先に仕掛けてきたんです。自分は正当防衛をしたにすぎません」

 「てめぇがあの怪人に勝てるわけないだろうが!奴は俺が作り上げた中で最高硬度をほこる怪人だった。攻撃力のかけらもないてめぇが勝てる相手じゃねぇんだよ!」


 なら、なんで俺が殺したと判断しているのか意味がわからない。


 「豪鬼、怒りに身を任せて発言しすぎ。でもおかしいのは確か。君ではアイツを倒せないはず」

 「私はそれよりも、魔法少女を助けたことのほうが気になるんだけど〜?」


 さて、どう誤魔化したものか。

 いや、無理にごまかす必要もないか。


 「僕としては魔法少女には利用価値があると思っています」

 「あ?」

 「はぁ……」

 「どういうことかしら?」


 よし、いい感じ食いついてくれたな。


 「魔法少女は各所に何人もいます。そこで今回のように何度か手助けをして懐柔します。ある程度関係値を築いたところで、拉致して実験素材にでも。その後仲間意識の強い彼女らは人質を助けに来ようとするでしょう。そこを叩くんです」

 「「「!!!!」」」


 全員が目を見開き驚いている。彼らは知能はあっても、人間のように深く考えることが苦手だ。つまり今回のようにしっかりとした策には、さぞ心が躍っているだろう。


 「そんなこと思いつかなかった」

 「おいおい!その策なら、ここで魔法少女といくらでも戦りあえるってことか!」

 「しかも、地の利がこちらにある状態。すばらしい。その策で行きましょ~か」


 反応は上々。

 後はここから早く帰るために、棗に詳細を記した紙を渡そう。


 「棗さんや。これを」

 「これは?」

 「さっきの作戦の概要が書いてあるんで、幹部たちに周知しておいてください」

 「ん。もう帰るの?」

 「はい、用事があるんで。では……」


 そそくさとその場を後にする。

 いつもの路地裏に出てくると、普段とは違う匂いがした。


 腐敗臭……?


 嫌な予感がしながらも、その匂いがする方へ足を進める。


 「これは……」


 そこには大量の人間の足があった。

 


 

 

 

 

 

 

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