4章

【#44】ティーシャママ、現る

【渋谷ダンジョン・地下一階】


「たまには外でキャンプもいいなぁ〜!! ね、フワンちゃん?」


「ピィ〜♪」


 渋谷ダンジョンの森の中。俺はギガント・シマエナガのフワンちゃんと一緒にキャンプをしていた。


 いつもフリールームで寝泊まりするが、今日は外の空気を吸いたい気分だった。最近はソロキャンも楽しくなってきたこの頃。


「フワンちゃん、焼きとうもろこしだよ〜♪」


「ピィー♪」

 

 そうやって、可愛いペットをさかなに夜のお酒を飲んでいた時だった。


ピローン!


「ん?」


 鳴り響くスマホの通知音。そこに表示されてたのは……。


【NINEよりメッセージ】


 《ティーシャ:アヤカちゃん? 今どこいる?》


「!? ティーシャから連絡だ!?」「ピィー?」


 早めに返信!! 推しを待たせるなかれ!!


 アヤカ:ど、どうされましたか!?


 ティーシャ:い、いや、急で悪いんだけどね……実は会ってほしい人がいて


 アヤカ:ど、どなたですか!?


 ティーシャ:えっとね、ウチの……ママなんですけど


 アヤカ:えっ!? お母様!?


(ま、ま、ま……待てっ!? ティーシャのママが俺とぉ!?)


 冷や汗ダラダラ。こんなの全然想定してない……!!


 ティーシャ:もしよかったら、今から会えないかな? ママが転移魔法で行く……って聞かなくて


 アヤカ:ちょ、ちょっと待ってください!?


「うわーーーー!? どうしよ!? どうしよ!?」


 バタバタと身だしなみを整える俺。


 なぜかティーシャの親に会うとなると、妙にソワソワしてしまう。別にやましい事があるわけじゃないのに……。


 しかし、あまりお待たせするわけにもいかない。


 俺は最低限の身だしなみだけ整えた後、勇気を振り絞って返信した!!


 アヤカ:おおおお待たせしました!! 渋谷ダンジョンの地下一階にいます!! 転移、どうぞ!? 

 

 ティーシャ:おっけー。じゃあ、ちょっと待ってて……


 その返信があった、三秒後。


「わっ!? もう来た!?」「ピッ!?」


 目の前に出現する魔法陣。


 いつものティーシャのものより大きく、強大な魔力を感じる……!! 


 そして、中から二人の人影が現れた。


「すごい!? ママ、一発でいけたね!?」


「あらあら〜♪ 久々で張り切っちゃったかしら〜♪」


 一人はティーシャ。そして、もう一人は──銀髪ロングの美しいサキュバスだ。


 悪魔の二本角を生やした、黒いドレスの銀髪美人。


 見た目は三十代前半くらいだが、その美貌は無限の若さを思わせた。おっとりした感じのマイペースな雰囲気を纏っている。


 そして、なによりその顔だ。


 猫耳は生えてないものの、その面影はティーシャにとてもよく似ていた。まさか──。


「え、えっと……あなたがもしかして──ティーシャのお母様ですか?」


 恐る恐る聞いてみると、銀髪の若美人はニッコリと微笑んで言った。


「ハイ♪ ワタシ、アミーシャ・クラリオンと申します。いつもティーシャがお世話になっております~~♪」


 

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