【#21】地底湖で水遊び!
【池袋ダンジョン・地下25階】
「うはぁー!? キタキタキタキタッスよーーーーー!?
白い
地底湖の水はとても綺麗に
:ようやくたどり着いたか!
:本来はもっと楽に来れるスポットのはずなんだけどね……
:とうとうみんなの水着姿が見れるぞぉーーー!!!
今回予告していたイベントだけあって、リスナー達もかなり盛り上がっていた。……今さらだけど、全世界に水着姿さらすの緊張するな!!
そんなドキドキしている俺とは対照的に、ティーシャが元気よく切り出してきた。
「それじゃ、お着替えタイムー!! ──アヤカちゃん、フリールームに入れてもらっていいかな?」
「は、ハイ!!」
そうして俺達はフリールームを更衣室代わりに使い、みんなでお着替えする事となった。
◇◆◇◆◇
〜数分後〜
「お待たせーー!!」
ティーシャの合図とともに、フリールームから戻ってきた俺達。
既に水着への着替えは終わっているが、首から下は白いローブを着けて身体を隠している状態だった。ラビスさんの提案した演出である。
:うぉーーー!! 待ってたぜーーー!!
:早く!! 早く!!
焦れた様子のリスナー達の声を受け、俺達は水着を
順番はジャンケンで決めて、まずはラビスさんから。
「じゃ、ウチから行くッスよー!! ばーん!!」
健康的な白肌に
ウサ耳!! 水着!! ギャル!! と三拍子そろって素晴らしい
:良き……
:なんでギャルってこんなに水着似合うんだ
:海にいたら速攻でナンパされるだろ、これ!!
「次はあたしねー☆」
「バーン!」とローブを脱ぎ去るティーシャ。
ティーシャの水着は、胸の辺りに波打つフリルがついたカラフルなフレア・ビキニ。空色を中心とした下地に、”南国”をイメージした柄が散りばめられている。
そのサラサラと輝く銀髪ミドルショートもあいまって爽やかな”美少女感”にあふれており……ただでさえ普段から可愛いのにさらなる
:おぉぉぉ!! 感動で言葉にできない!!
:ビューティフル!! ビューティフルだよ、ティーシャ!!
:やっぱティーシャなんだよなぁ……!!
……そして、最後は俺だ。
「ど、どーでしょうか……!?」
俺が着ているのは、和風のデザインが施されたビキニだ。
オシャレな色合いの赤や黒の模様が織りなす和風水着。まるで着物の
その和風水着は俺の身体にピッタリとフィットしており──自分で言うのもなんだがよく似合っているような気がした。
そんな俺の水着姿を見たリスナー達は──。
:やっべぇ!? 酒クズちゃん、想像以上の”デカぱい”すぎるぞ!?
:わりぃ……やっぱ胸でけぇわ!!
:酒クズちゃん……普段はあの着物でそのおっきい胸を隠してたのか……!!
「うっ……!? やっぱ恥ずかしいぃ~~~~~~~!!」
思わず身体を両手で隠して座りこんでしまう俺。あまりにも慣れない状況すぎて、脳がパニックを起こしてしまった……!!
:あっ!? 大丈夫!?
:すまんすまん、煽りすぎたな
:元ニートの女の子には負担がデカかったか……
そんな縮こまった俺の元へ、二人がやってきた。
「大丈夫ッス、酒クズパイセン!! ウチらがいるッス!!」
「そうだよ、アヤカちゃん♪ 一緒に泳いでいれば、きっと気にならなくなるよ!!」
「ティーシャ……!! ラビスさん……!!」
こちらを笑顔で見下ろす二人に対し、俺はゆっくりと手を伸ばした。そして、その両手がそれぞれ左右の彼女達と繋がれていく。
そうか。今思ったら……二人も同じ水着姿なんだから、俺が恥ずかしがる必要なんてない!! 堂々と一緒に過ごそう!!
俺がそんな決心をしていた頃、ティーシャがこんな提案をしてきた。
「あっ、そうだ!! せっかくだし、みんな一緒に飛び込んじゃおうか!!」
「おー!? いいッスねー!?」「わ、わかりました……!!」
「それじゃ、3つ数えたら行くよ?」
それからティーシャは俺達にスリーカウントして、ゼロと同時にみんな一斉に走り出した!!
「「「わぁーーーーー!!」」」
ざっぶーん!!
こうして俺達三人は激しい
◇◆◇◆◇
それからはまるで子供のように、無邪気かつ自由に遊んだ。最初は浅瀬の方に行き、準備運動がてらに水遊び。
「わーい!! ティーシャ、こっちッスよー!!」
パシャッ!! パシャッ!!
ラビスさんがティーシャに向かって、水をかけて攻撃してくる。水が顔に直撃したティーシャは、ニヤニヤと微笑みながら怒ったフリをする。
「もぉ~!! 仕返しだよぉ~~~!! このっ!! このっ!!」
「ちょっ!? ティーシャ!? わたしにかかってます!?」
:草
:酒クズちゃん
:きゃっきゃうふふ……と水着で遊ぶ美少女達。これだけですげー
それからある程度遊んだ後、ティーシャは俺達を集めて魔法を唱えた。
「
直後、三人それぞれ大きな泡の中に包まれた。ティーシャは
「よし! これで水の中でも呼吸できるよ! みんなで湖の中に入っちゃおーう!!」
「「おー!!」」
今度は湖の奥深くへと入っていく俺達。その先に現れたのは──。
「うわーー!? すごーーー!?」
湖の中には、半透明な青の世界が広がっていた。
たくさんの小魚達が群れをなして水中を美しく動き、湖の底では『
:やっば
:絶景すぎる……!!
:
そんな景色に
「ねぇ、アヤカちゃん」
「ん?」
「もうアヤカちゃんが配信を始めて一週間だけど……どうかな? ダンジョン配信は楽しいかな?」
「そうですねぇ。思ってたより、”
俺は周囲を泳ぐ小魚のアーチを眺めながら話を続けた。
「ダンジョンに行く前は色々準備しないといけないし、今日遭遇した敵みたいなイレギュラーな事も起きるし……。きっとこれからもそういう予想外のトラブルは避けられないんだと思います。──でも」
それから俺はティーシャの方へ振り向いて、心で思うままに語り続けた。
「ここでしか得られない経験があります。ティーシャも、ラビスさんも、リスナーのみなさんも……みんなと一緒に楽しい配信を作る。それはきっとかけがえのない経験だと思います。そして、まだまだダンジョン初心者のわたしですけど、確実に一つ言えることがあります」
俺はスーッと息を深く吸い込んで、今日一番のリラックスした笑顔でそれを言った。
「わたし、やっぱりダンジョン配信が好きです。今までも、きっとこれからも、それは変わらないと思います」
「──そっか」
ゆっくりと、深く頷くティーシャ。その表情はどこか満足そうに見えた。
「うぉ~~! 酒クズちゃん、よく言ったッス~~!!」
優し気に微笑むラビスさん。コメントでもリスナー達が祝福の言葉をかけてくれる。ゆっくり流れるような時間の中で、俺はこう思った。
今、俺は"幸せ"だ──と。心からそう思う事ができた。
そんな熱い想いに包まれていた俺へ、ティーシャが微笑み交じりにこう言ってきた。
「それじゃ、これからもよろしくね♪ アヤカちゃん♪」
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