第82話 株式会社ナイトワーカーズ

3ヶ月前、弐零弐肆が窓口で、グリミーをキャラクターに起用したいとの打診を受け入れたことを期に国は動き、各運送会社にハラスメント撲滅キャンペーンの通達を出した。


ポスターには、


ハラスメントはカッコ悪い、ダサい、臭い!のキャッチフレーズが載って、全国からグリミーをイメージしたイラストを募集し、採用されたイラストが掲載されていた。


見るからに臭そうで、汚い。このイラストを作成した人は天才だと思う。


全国放送のテレビでも発表され、CMでも流れた。これだけ、国は物流に危機感を持っている。


CMでは、

『パパ、グリミーになったら嫌!』と、小さな女の子が言う内容だった!


道端でも、

「お前はグリミーか」みたいな冗談話しをする人が出るまでになっていた。


草加部の勤務先でもポスターが貼り出され、本部の総務部から通達も来ていて貼り出されていた。


草加部、大沢、仁田はこれに乗っかり、副業として株式会社ナイトワーカーズを立ち上げていた。


資金は、草加部が投資していたビットコインがかなりの含み益を出したので、それを利用した。


税金の申告は、後からまとめやろうと安易にスタートした。


社長は大沢。

取締役専務は仁田。

代表取締役常務は草加部。


草加部は前に出ないように、このような組織にした。


まずは、各運送会社向けにTシャツを作って販売した。10枚買うと、グリミーをイメージした臭くてダサくて、1回洗うとダメになるTシャツをオマケで付けた。


これが話題になり売れた!


『これがグリミーのイメージです。』


臭すぎて、会社の窓を全部開けたとクレームがあったので、少し匂いを落とした。


どっかの運送会社の取り組みの紹介で、このTシャツもテレビで流れた。


そのおかげで、問い合わせが増えて売上が伸びた。


売上は伸びたが、工場から直接発送してもらう流れを作っておいたので、手数料はかかるが副業的にできていた。


このTシャツの売れるのも一時的なものだと思っている。


名刺も作った。

ロゴは『KW』からデザインしてもらった。


東京のお台場にあるテレビ局から、お正月のイベントで期間限定でグリミーランドを作りたいという企画があった。内容は、二度と来たくなくないグリミーランドということだ。チケットを買うにも感じが悪く、嫌な雰囲気でグリミーを表現したいというものだった。


『これがグリミーのイメージです。』


アメリカの映画製作会社からの打診があった。日本でのハラスメントへの取り組みが話題になっているのを見て、原作である小説を読み映画にしたいということだった。


『グリミー 《ある運送会社の物語》』


『Grimm is endless

 Grimmy《Shipping company stories》』


もちろんOKだ!

商業目的ならこちらも商売として話しを聞く。


今は、メールで商談中だ。将来的にはグリミーをイメージした遊園地の建設も考えたいという内容だった。


楽しめるのかは不安だが、アメリカ風のユーモアがあるブラックジョーク的なものを草加部はイメージしていた。


グリミーランド建設。そして日本へ進出したい。そう書いてあった。


この辺りのことは、国の政策的なもので使用されたものでもあるので、念のために弐零弐肆の佐藤さんには連絡をしていた。


”近いうちに大沢君に飛んでもらおう”


ーつづくー

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