第56話 貨物列車で運ばれるようなったある日の出来事。(グリミー)

さらに4か月が経過し、


うちの会社でも貨物列車で荷物が運ばれるようになった。


貨物の基地に集約店の担当のドライバーが取りに行き、滑車に載っているコンテナだけを大きなフォークリフトで持ち上げられ、一列に並んでいる大型トラックに順番に載せられていき、各店舗に直行する便はそのまま出発する。混載されているコンテナを載せられたトラックは集約店に戻る。


こういう感じらしい。


うちの営業所に到着するのは14:00頃だが、貨物列車は遅れて基地に到着することが意外に多い。


例えば台風シーズン、強風、木が倒れた、人身事故、停電など、大幅に遅れた時には夕方の発送の時間の混雑は避けるように夜間に回されることある。


ここで出てくるのが、またしてもグリミー。


夜間に回されると喜び、中途半端に遅れるて到着すると、発送の混雑する時間帯に突入する前に終わらせなければならないから、それが大変なんだと大騒ぎをする。


「会社として何とかしろ!」

「時間が遅れるなら持って来させるな!」

「遅れるなら連絡をよこせ。」


事務所に怒鳴り込み、自分が被害者であるかのように大騒ぎして、集荷から戻ってきた配達ドライバーに愚痴を言い大変アピールする。ドライバーによっては八つ当たりをする。


こんな毎日だった。


そんなある日、

少し遅れて来たコンテナ車のドライバーが、

「お疲れさまです。」とホームに上がってきたら、


グリミーが、

「キーーーーーー!」

「お疲れ様ですじゃねえよキー!持ってくんじゃんえよ!この時間になるなら電話よこせねえのかよ!キーーーーーー!」


と怒鳴りつけて、


そのドライバーも激怒し、

「この時間になったのは俺が悪いんじゃねえよ!基地からは順調に来たぞ!いつから電話しなきゃいけなくなったんだ!」


と言い返した。


そしたら、グリミーが、

「おめえに使われてんじゃねえ!キーーーーーー!」


と、ちょっとピントがズレたことを言い、話しにならないと思ったドライバーが自分が所属している集約店の上司に電話をした。


そしたら即、うちの所長の今村の携帯が鳴り、

即、事務所にいた今村が構内に行き、


「遅れるのは仕方ないだろ!集約店で大騒ぎだぞ!ドライバーに言っても仕方ないだろうが!」


と、グリミーを大型ドライバーの目の前で怒鳴りつけ、

グリミーは秒殺された。


その間、呪術使いじゃないかと疑惑がある金髪のカイさんは、黙々と荷物を降ろしていたということだ。


最後、グリミーは「悪かったね。」と言ったらしいが、

大型ドライバーは、「うるせえ!」と言って出発したということだ。


後日、草加部が今村所長に貨物列車の遅延状況の調べ方を教えてもらい、それをカイさんとグリミーに教えた。


とても簡単な操作だった。2回クリックしただけで分かる。


”なあ、グリミーさん。

だからうちのシステムは誰でも調べられるように作られてるんだよ。

あなたが使えてないだけじゃないの?”


2023年3月15日水曜日、朝7:02分。


事件が起きた。


ーつづくー


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