第3章 魔王討伐No.10

「ん?待てよ?…ベニグノのヤツ、

“ベジタリアン”と言いながら、猫の血を吸おうとした…これは何でじゃ?」


シルバードラゴンもその現場にいたのだか、ベニグノとカシミロのやり取りを見て

“ふとっ”疑問に思ったのをぶつけて見た。

すると、カシミロは間髪を入れず言葉を口にする。


「はい!皆さんは“何故、ベジタリアンなのに血を吸うのか?”と思っていると思いますが……

結論から言いましょう!

ベニグノは“エセ、ベジタリアン”だからです」

「キャーーー!!!」


“アンタが言うなよ!!”

と俺はベニクノの胸にツッコミを入れた…ちなみにベニグノは“キャーーー!!”と言った張本人である。


「……アンタ、ビックリ面白ろモンスターか?」


呆れるシルバードラゴンに対してベニグノは反論する。


「ビックリって……拙者は立派なサムライぞ?そこら辺のサムライと区別されては困る!」


“……吸血鬼だけどなぁ”

とベニグノに対する俺の興味はドンドン低くなりつつある。


「あっ!今“コイツ、早く倒してくれねーかなぁ…本当に興味ないわ…”と思ったでしょう?だてに、ぼっち率高くないからね!!ぷんぷん」


得意げに話すベニグノ。

それに対して俺とシルバードラゴンは、ますます悲しくなってきた……。

“まさに正解です……”


「それはさておき、そろそろ勝負といたそう!」

「ま、まて心の準備が!」


“クソ!!アレは油断をさせるためだったのか!”

俺は慌てて構えたものの、一瞬の隙を取り戻そう思うのだが、その油断を埋めるためには時間が足りなった。

“ブシューー!!”

俺の右手は大量の血が出ており、今は使い物にならない。


「今のは惜しかったござるなぁ…ふん、まぁいい。ガルシア殿、参る!」


そう言ってベニグノは握りめた剣を構えて一気に近づける。

こうして“俺対ベニグノ”の勝負は幕開けしたのだ。



ーー数分後


「ずみまぜんでじだ…」


土下座するベニグノと、ドン引きする俺…。そこには異様な光景があったのだ。

“何故、ベニグノは正座なのか?”って、それには時間を戻そう。


“俺対ベニグノ”

開幕した直後、鋭い剣と素晴らしいセンスで窮地になってしまった、、、。

だが、鋭い剣は徐々に鈍くなり、ベニグノも息切れをしてしまった…つまり“運動不足なのだ”


「まさか、ここまでとは……拙者の感服でござる」

「いや、ただの運動不足でしょ!?」


俺は思いっきりツッコミを入れた。

ベニグノも“ビクッ”肩を揺らす。すると突然、カシミロが前に出てこう宣言した。


「ベニグノ様を倒して頂きありがとうございます…ただ、ベニグノ様を“倒す”のは良いのですが“死”んでは困ります」


カシミロは鋭い目、冷静沈着な姿でコチラの方へ向いていた。


「どうしても戦いたいと思うので、あれば私が戦いましょう」


そう言ってカシミロは武道のように構える……やはり実践には向かないのか、カシミロはぎこちない。


「もうええ。ワシの負けじゃ。ただ…喋って欲しいことは包み隠さず喋ってもらうからのう」

「ありがとうございます」


カシミロはそう言って深々とお辞儀をした…それを見たベニグノは“キラキラ”した目で見つめていた。


「ベニグノ様。私に懐く猫の件、探してもらいますからね」


カシミロは“ギロリ”とベニグノを見つめていた…まるで、立場が逆転したようだ。

俺はそれを見て哀れなように感じてしまった。

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