蝉の声はじっとりとした蒸し暑さを運んでくる。プールに入った後のように、外の世界と隔てられているような、そんな感じ。嫌な汗が染みた服は、気持ちが悪い。しかし、徐々に…なんといえばいいだろう。別世界に入り込んでいくように、魂が後悔にまみれた衣を脱ぎ捨てるように、爽やかさを増していくのだ。黄昏時になく猫の声。少女の冷たく温かく小さく大きな手。 謎めいていて、優しく、切ない。夏のお話。救いのお話。さぁ、貴方も。―――なおん