第26話 小さな旅立ち

「ミナも一緒にか……」

 まさかミナの口から一緒に行きたいだなんて言われるとは思いもしなかったな……

(だけどどうして急にあんなこと言ったんだろう……理由も後で言うって言ってたけど)

「うーん……さっぱり分からん。ついていきたい理由もなぜ急にあの発言をしたのかも」

 まぁ少しの間、学園を離れるって言っても数日ぐらいだろうし、正直俺としてはどっちでもいいというのが本音ではある。

(というか、仮に僕らが許可を出したところで先生たちやお父さんにはどう説明するつもりなんだろう……)

「先生に関してはさっきケビンが引き受けてくれたのと同じように頼めばいいんじゃ?」

 あの感じだと一人増えた所で変わらず、頼まれてくれそうに思えるが……

(先生たちには……ね。だけどミナのお父さんへの説得となると話は変わってくるよ

よ)

「ん……あ、そうか。確かミナってここの領地のお嬢様だったな……」

(そうなんだよ。それにミナが言うのはけっこうお父さんの事口うるさいって言ってたから、説得するのも時間が掛かりそうだね……)

「そうなると困ったな……一応、こっちはこっちで時間が無いからいっそ、説得はミナ一人に任せて俺らは先に出るか?」

(それを仮にするなら、村までの道中手助けしないよ?)

「げ、それは地味に困るな……冗談だよ。あんまり待つのは好きじゃないけど……」

(ありがとう! きっとその返事にミナは喜ぶと思うよ!)

「そうか? だってあいつ、今でも俺には冷たいんだぞ?」

(……ソウダネ)

「おい、なんでそこだけ片言なってんだよ……」

 そんなこんなで多少意見が割れることはあったものの、最終的にミナも村までの道中、連れて行くことに決まった。

 後はミナのお父さんの説得だが、これはまた後で考えればいいや。話を聞く限り、ミナのお父さんは真面目、カタブツ。そんなイメージで今の所定着している。もしかしたら意外と違ったりするのかもしれないけど……



 そして翌日。

「あ……」 

「おはよう……アレン。それでどう? あれから返事の方は……」

「あぁ。立って話すのもあれだしどこか、座りながら話そうぜ」

「ええ。そうね……」

 そう言って俺たちはなるべく隅っこかつあまり人がいない席が空いていたのでそこの椅子に腰を下ろした。

 可能な限りこういった会話は誰かに聞かれると面倒事がさらに増えるからだ。

「えっと……それでアレンと一緒に話し合った結果、ミナも連れて行くって事にはなったよ」

「本当? ありがとう。カイ、アレン……」

「えーっとそれでもう一個話しておくことがあるんだけどさ……」

「話って?」

「えーっとだな……ミナのお父さんへの説得だよ。アレンから聞いた話だと口うるさい人なんだろ?」

「うん……まぁ、そうだけど」

「ならその説得をなるべく自力でどうにかしてくれ。多分俺らが行ってもあんまり意味が無いような気もするしな……」

「……分かった。何とか説得してみる。だけどもし無理そうだったら協力してもらってもいい?」

「まぁ、その時が来たらな……」


──────

あとがき


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僕達は異世界で刺激的で平和的に暮らしたい ホオジロ夜月 @coLLectormania

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