第18話 1難去ってまた一難

Side アレン

 カイの為に何か役経つ情報は無いかと思いつつ、僕は図書室で調べてみるもやっぱりというかそういったことに関する情報は得られなかった。

 そう言えばだいぶ昔にお母さんから聞いた話だと僕の様な多重人格? のような人間はそもそもその存在が大っぴらには認められておらず、むしろ迫害を受けていたらしい。魔族の手先だとかなんとかあらぬ疑いを掛けられて……

 もしかしたらそのバンダさんも、マキセガワさんも同じような目に合ったからこそ旅という口実であの村を出ていったのかもしれない。

「うーん……本や人から知れる情報はもうこれぐらいしかないのかな……」

 そうしてかれこれ数日間調べ続けてもあまり結果は良いとは言えなかった。


「……誰もいない、よね?」

 今の図書室はさんもいないので僕はカイにある提案をするために周囲に人がいないか確認する。

「良し。いないな……カイ? 聞こえる?」

(ん? あぁアレン。どうかしたか?)

「いや、やっぱり本や人から知れる情報はもう限界そうだよ」

(そうか……まぁ薄々ながら予想はしてたけどな……)

「それでこれは僕からの提案なんだけど……魔法学校を休学してそのバンダさんを探しに行くっていうのはどうかな?」

(どうって……なぁアレン。そのパンダだかバンダだか分からない人は今も尚旅に出ているんだろう?)

「うん……そうみたいだね」

(そうなるとまずそんな一か月とか、一年以内に見つかるとは限らない)

「だからせめて卒業してからの方が良いってこと? だけど……」

(そんなに焦んなくていいよ。それよかあんまり寮の部屋意外ではこうして話さない方が絶対良いと思うぞ)

「え? なんで?」

(なんでって……他人に独り言が激しい奴がいたら怪しまれるだろ?)

「それもそっか……」

 カイに言われてようやく自覚したけど、僕たちもまたあまり大っぴらに人前で会話するのはリスクが高いかもしれない……

(とりあえずこの話の続きは寮の部屋で話すぞ)

「うん。分かったよ」

ひとまず自分の部屋に戻り、今後の方針を決めようと取り出した本を一冊ずつ片付けていく。


「ここは……ってうわ!」

 片づけ中、よそ見をしていて死角から現れた人にぶつかってしまい手元にあった本は床に散らばる。

「大丈夫かい?」

「え、えぇ。すみませんよそ見しててしまって……それじゃあ僕はこれで」

「ああ。気をつけるんだよ」

 そうして僕は彼の前から去り、そのまま片付けも終わったので自分の部屋に戻った。


Side ?

「ふぅ……さっきの彼、そんなに慌てなくてもいいのに……ん? これは……」

 多分彼が読んでいた本の一冊か……戻しておく──か?

「これは……二重人格やそれに関する書物……」

「しかもさっきの彼なんだか自分以外の誰かと話していたような声が聞こえたが、まるで……しかも多重人格者に関する本も読んでいた……まさか!」


「これは……調べてみるか。もし私の予想が当たっているのなら……」

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