第17話 共生生活へ……
「お、終わった……」
なんとか数日ぶりに魔法を使ったりする実技の授業が終わり、今は寮の自分とラインの部屋でゆっくりしている。
入れ替わっていた期間が数日だったとはいえ、多少は感覚とかが鈍って魔法を行使する際、狙いがぶれるのを想定するも意外な事に五発中三発が的の真ん中を貫き、内二発も惜しい所に当たっていて命中率が飛躍的に上がっていた。
「……カイ。起きてる~?」
ふと彼に聞きたい事、話したいことがあるために彼の名を口にする。しかし本当に居るのか怪しく思えてくるほどに僕の脳? 耳? からはカイの声は聞こえてこなかった。
「本当に消えちゃったとか……ないよね?」
あの時今後は話さないって言ってはいたけど、さすがにずっとだんまりしているとは思えず、僕はしつこく彼の名を口にする。
「カイ……ねぇ、カイってば!」
(なんだよ。なんでそこまでまた俺に関わろうとするんだ?)
「なんでって……そりゃあまだカイにはお礼と呼べることはまだ何もしてないよ……」
(別にお礼をとか考えなくていいんだが? そもそも肉体を持たない身だしな……)
それを言われると少し僕の中で躊躇するような気持が生じて、説得する気持ちが薄れていく。
確かにカイにとっては実体を持たない以上、そういう事を考えるだけ無駄なのかもしれない。
だけどそれを聞いて簡単に引き下がる僕じゃなかった。
「それは本当にカイの本音?」
(なに……?)
「だからそれはカイの心からの本音なのかって聞いてるの。どうなのさ」
ここまで来たら僕は絶対に引き下がらないと決め、そのまま食らいつくように質問を続けた。
「それにラインから僕たちに似たような状態で生活している人がいたって聞いたよ?」
(あ~あれか。てっきりあの時は聞いていないと思っていたよ)
「いや、バリバリに目は覚めてたよ。ほぼ聞かせてもらったよ。しかもその人旅をしているだけでまだ会えるんだよ? 探しさえすれば!」
(そうは簡単に言うけどな。一体どこまで探しに行くつもりだ? まさか世界の蠅まで探し回るなんて言うんじゃないだろうな……?)
「カイの為ならそういう事もやってみせるよ。そのぐらい僕は本当にしてるんだ」
(アレン……はぁ……全く。そういう頑固な一面には敵わないな……)
そうして観念したか、それとも受け入れてくれるようになったからか、僕の提案を聞き入れようなってくれた。
(それで……もし本当にそのバンダさんを探しに行くにしたって充ても無く、旅に出るつもりか?)
「その事なんだけど……一つだけ当てはあるんだ」
(マジでか!?)
「うん。そもそも話、そのバンダさん? はそもそもラインとは旧知の中だったらしいんだよね。」
(ああ。そうラインから聞いてるな……)
「それに僕とラインは故郷が同じなんだよ。だから僕が会っていなかっただけで、実際にその村にいたはず……だからまずは故郷での聞き込み調査って感じかな」
(そうか……思ったよりしっかり流れは決まっていたんだな……)
それを聞いたカイは安心したように口数が減っていった。
「だけどとりあえずまだ僕もラインもミナも、この学園に在籍中に以上、卒業してからになっちゃうけど……それでも良い?」
(良いも悪いも、俺にはそれを決める権利は無いよ。だけどそのバンダさん探しに必死になってくれて本当に感謝の限りだ……)
「カイ……うん。だから後一年とちょっと待ってもらって良い?」
(ああ。そのぐらい余裕で待っててやるよ。だから期待してるぜ? カイ!)
「うん。僕に任せてよ! 後ラインとミナもいるよ!」
そう言って僕は誰もいない室内でふんと胸を張って強く生きこんで僕は日々の日常生活に心血を注ぐようになった。
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