第11話 魔法会得の特訓
顔を洗い、制服に袖を通したらミナに食堂と呼ばれる場所に案内された。
昼食を除く朝夕は全校生徒がここで食事を取っているらしい。全校生徒が座るというのもあって、今いるこの食堂自体が体育館と変わりないぐらいには大きく、中は喧騒に包まれて賑やかだ。
俺とミナは一緒に入り、注文を済ませてそのまま受け取り口の近くで待っていると、一人の女子の生徒が声を掛けてくる。
「おはよう。ミナ、アレン。今日も相変わらず一緒なんだね~」
「おはよう。今日も今日でアレンったらずっと寝ててね……」
「あはは。それは大変だね~アレンもしっかりしないとね~」
「あはは……うん。気を付けるよ」
実際は起こされるよりも前に起きてたんで、事実とは異なる形でそのまま会話が続くのは少しムッとなったが、アレンは朝には弱いキャラで通っている以上、ひとまず話を合わせるように答える。
「そういえばミナはさ昨日のテストどうだったの? 実はさ、私補習になっちゃってさもし、得意なやつだったら教えて~!」
「そういう事なら良いわよ。それでどの教科なの?」
「ここなんだけど……」
そうして食堂にて謎に勉強会が始まったのを横目に、頼んでいた食事が来たので自分の分だけ受け取り、適当に空いている席を探しまわる。
「にしてもけっこう埋まってるな……」
流石にどこかしら丁度いい人が少ない席があると思い、歩き回るもどこを見ても数人グループで座っている人たちばかりで一人で座れるようなスペースがこれでもかと無い。
「おーい。アレン。こっちだ」
「……ん? あ、ラインか」
そんな中、食堂という広い空間でラインから呼ばれる声が聞こえて、その方向に首を向けるとラインの近くはそこまで人が座っておらず、ちょうど良いと思い、隣の席に座ることにした。
「おはよう。カイ……じゃなかった。アレン。よく眠れたか?」
「まぁそこそこだな。というか朝、俺が起きた時にはもういなかったけど何処か言行ってたのか?」
「あぁ、日課の筋トレと走り込みをな。それで汗を拭いた後にそのまま飯を食いに来た」
「そういう事だったのか……というか日課っていつ頃からそれを続けているんだ?」
「ん? この学園に入学してからずっとだな。だからもう一年以上は続けているな」
「一年以上……」
それを聞いてミナと良い、ラインと良い、俺の身近には熱心、努力を進んでするような人間しかいないのかと思い、息が詰まるような気がした。
「それでアレン。今日の事なんだが……」
「ん? あぁ分かってるよ。魔法の事だろ?」
「そうだ。一応俺らが通う学校は魔法を使えるのは前提となっている以上、使い方が分からないなんてバレたら、それこそ学校全体から怪しいものを見る様な目で見られるぞ」
「うへぇ……それはめんどくさい事この上ないな」
「だろ? だから、今日の魔法実技の授業までに俺がある程度使える状態にまで教え込んでやるよ」
「おお、それは助かる。そもそも魔法全般への知識すらない状態だから、今の状態で授業を受ければ即バレて、ゲームオーバーだからな……」
こうして手を貸してくれる分には二人には感謝の気持ちが強いので、しっかり伝えておくことにした。
そうして朝から筆記やら、軽い実技をやっていき、午前中の授業は完全に終わり、遂に昼休み。
もといラインの魔法の実技の特訓が始まった。昼休みは大体50分ぐらいだと焦らず行けば問題ないぐらいには習得できるとミナも言っていたので俺はやや軽い足取りのまま指定された食堂の奥の小さな林へ足を運んだ。
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