第5話 恥ずか死

 俺が呆れたように言うと、未奈は当時のことを思い出してか、かぁっと赤くなり、


「声が聞こえたところは、その……序盤で、そっから覗き始めて見始めて……最後まで無意識に見てたよね。いや、意識はしてたか……うん」


 ボっと頭の上から煙を出して、何故か納得したかのように頷く。


「はぁ……終わった」


 その答えに、俺は未奈と同様に両手で顔を覆う。

 隠しても隠し切れないくらいに、さぞかし耳まで赤くなってるだろう。

 あぁぁぁぁ‼ 恥ずかし恥ずかし恥ずかしいぃぃぃ‼


 まさか幼馴染に行為を見られるときがくるなんて思って無かったよ! それも最初から最後まで全部!


 がっつくように腰を振ってるところとか、そのときシた子がⅯ気質だったから、言葉責めしてるところとか……フィニッシュまでくまなく見られてたってことだよな……?


 ムリムリムリ! 考えただけで意識飛びそうなくらい恥ずかしいぃぃぃ!

 うわっ、もうダメだ……今すぐ地面に埋まりたい……。もういっそ、存在もろとも消えようかな……。


 てか、なんで未奈は全部見てるんだよ! おかしいだろうが!

 俺は気を利かせてほぼ素通りしてやったのに、これだと全く見なかった俺が損した気分だ!


 どうせ鼻の下を伸ばして、目を見開いて見てたんだろ? 『蓮馬って、そうゆうエッチ好きなんだ、へぇー』って変に納得しながら見てたんだろ⁉

 それで興奮してた痴女なんだろ⁉ 知らんけど!


 ちゃんと見てたんなら、せめて……せめて興奮はしてて欲しいよ⁉ 地面までパンツからトロッと愛液を垂らして見てて欲しいんだけど⁉


 はぁ……こんなときに何を言ってるんだ俺は。

 ……普通に死にたいかもしれない。


 絶望している俺に何かフォローしようとしたのか、俺の肩を叩きながら早口になる未奈。


「べ、別に? 全然変じゃなかったよ? むしろ私もされたいーみたいな? 蓮馬の大きかったし、すごく上手そうだったし、絶対シたら気持ちいいだろうなーって。いや、違うな。とにかく……大丈夫だよ!」


 何が『大丈夫だよ(ドヤっ)』だ! 何も大丈夫じゃない発言してるんですけど⁉

 むしろ爆弾発言ばっかりでお前が大丈夫か⁉


 こいつも恥ずかしくてついに頭がおかしくなったのか……。

 それともテンパって本音を漏らしたか?

 おいおい、これがもし本音だとしたら未奈は俺とシたいってことだよな?


 全身をくまなく見られてて、動きまで把握されてるのがなんか腑に落ちないが……そうか、未奈は俺とシてみたいのか。


 もし誘われたなら、俺は何の迷いもせずOKする。

 服を着ている状態でも分かる、未奈の完璧ともいえる体。

 これを味わわないわけにはいけない。


 本人のその気が本当にあるなら、このままベッドに押し倒して襲ってもいいけど、それは今じゃない。

 未奈とするのなら、まずは幼馴染という関係から変えなければ俺はこいつに手を出したくない。


 幼馴染だからこそ、俺は今まで我慢して手を出さなかったんだ。

 これまでの頑張りをこんな状況で無駄にはしたくない。


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