第32話 新たな仲間

「それじゃ早速…。まず君たちは何故ダンテと争ってたのか聞いてもいいかな?」


「えーっと…俺たちは勇者団に入団するために旅をしてるんですけど、クロッカスの街でダンテの手下達が好き勝手やってるのを見過ごせなくて…戦ってなんとか倒したんです」


「へー、ダンテの手下をね…それで?」


「その後、ミネラバの町で今度はディオゲインって奴と会って…同じく戦って倒したんです。それで恐らくダンテに恨みを買って…さっきバーで食事してた所にダンテが…って感じだと思います…」


「ディオゲインを倒したのは君たちだったのか…それは驚いた。強いんだね、君たち!」


イリヤは楽しそうにニコッと笑いながらそう言う。


「そ、そーですかね…」


「ディオゲインは様々な国で問題を起こしてた凶悪犯だったからね…。まさか勇者団以外の人間が倒すなんて思っても見なかったよ」


「そうだったんですね…」


イリヤは手帳に何かを書き込んでいく。

そして、改めてアランの方を見た。


「君たち、勇者団に入団するために旅をしてるって言ってたね。とても良い志だよ!今戦争とか多いしなかなかなりたがる人はいないからさ…。勇者団の入団テストは本拠地のあるアルハリアでやってるから、是非来てくれ!」


「は、はい!もちろんです!」


「よし!それじゃあ聞き込みはこれでおしまい。ありがとね。…あ、そうだ。君たちは今暗黒騎士団に目の敵にされてるはず。アルハリアに向かうなら気をつけるんだよ。またダンテ達が襲ってくるかもしれないからね」


「はい!わかってます!」


「それならオーケー!ブラウンリバーさえ渡ればあとはひたすら北に向かうだけでアルハリアに着くからね!君たちが来るのを楽しみにしているよ。それじゃあ!」


「はい、ありがとうございました!」


そう言うと、イリヤは手を振り病室を出て行った。


「はー…かっこよかったな…イリヤさん…」


「やっぱり二番隊副隊長はオーラが違うなぁ…」


アランとベルはニコニコと笑みを浮かべそう呟く。


「全く、本当に勇者団オタクね…」


リサは笑みを浮かべながらやれやれと首を振った。


ーーーーーーーー


「よー、イリヤ!聞き込みは?」


「もう終わったよ。…君の能力、相変わらず大変そうだね」


「あぁ、インターバルが長くて困るよ…。とりあえずナックルの手下の兵達は捕らえて船に乗せてあるから。もう帰るのか?」


「そうだね…本当はここの金持ち連中達も調査したいんだけど…今はどうしても人手が足りない。獣人族との戦争が終わってからかな…」


「そうだな。戦争が終わらないことにはなかなか調査も進まないからな…早く終わってくれるといいけど」


「うん…よし、私たちも船に戻ろう。ダンテ達もブラウンリバーを渡って行ったみたいだし」


「あぁ、分かった」


イリヤとクリスは病院を出て港へと向かって行った。


ーーーーーーーー


「リサ、エルザは他の病室にいるのか?」


「えぇ。ちょっと様子見しに行きましょうか!」


「そうだな!ベル、レオナ、二人はここで待ってくれ」


「分かった」


「はい!」


そう言うと、アランとリサは病室を出てエルザのいる部屋へ向かった。


ーーーーーーーー


「エルザ!」


アランとリサは病室に入る。

すると、ベッドの上にはニコッと笑うエルザの姿があった。


「おー、二人とも平気だったんだね!」


「エルザ、手大丈夫?」


そう聞かれ、エルザは両手を上にあげる。

エルザの両手にはぐるぐると包帯が巻かれていた。


「この通り…今はまだ痛みがあるけど、二日ぐらい様子見したら平気だって!…先生にはムリは禁物だって怒られちゃったけどね」


「そっか…それなら安心だな!」


「うん!いつでも次の旅にでられるよ!」


「次の旅か…確かブラウンリバーの船は朝夕の七時に出るんだよな。なら、明日の夜七時の船で出るのはどうだ?」


「そうね…エルザはどう?」


「私はそれでいいよ。今日はちょっと休みたいし」


「よし!それで決まりだな!…とりあえずベル達がどうするか聞いてみよう。エルザ、明日の午後六時病院の前で集合しよう」


「おっけー!」


「よし、それじゃあ!」


「うん」


アランとリサは自分の病室へ戻った。


ーーーーーーーー


「…って事なんだけど、二人はこの後どうする?」


「うーん…」


ベルは少し考え込んでから口を開いた。


「アラン、さっきレオナと話し合ったんだけど…俺たちもアラン達の旅に連れてってくれ!」


「…お願いします!」


そう言うと、ベルとレオナは深々と頭を下げた。


「え?い、良いけど…それでいいのか?折角自由になったのに…」


「俺たちは生まれてからすぐ奴隷として売られたみたいでさ…出身も親も分からないんだ。だから、行くあてがなくてさ…それに、俺も勇者団になりたいって思ったんだ!…さっきのイリヤさんとクリスさんを見て、俺も勇者団になって人を助けたいって思ったんだ!…迷惑かもしれないけど、頼む!」


「…そうか、それなら俺たちと行こう!人数も多い方が絶対楽しいし、目的が一緒なら尚更だ!」


「本当か?ありがとう!!」


「ああ、これからもよろしくな!」


「こっちこそ!」


そう言うと、二人はニコッと笑顔を浮かべ固く握手を交わした。


「ほんとにいいんですか?」


レオナは不安そうにリサに問いかける。


「えぇ、もちろんよ。アランも言ってる通り、旅は人数が多い方が楽しいしね!」


「リサさん…ありがとうございます…!」


「いいのよ!」


「よーし、それじゃあ明日の午後六時までゆっくり休んで備えるぞ!次の目的地はブラウンリバーの向こう側だ!!」


こうして、ベルとレオナが仲間に加わりアラン達はブラウンリバーの向こう側を目指すのだった。


続く

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