第3話:最強のダウジング装備が見つかった件(Sランクアイテム探知率100%)

「追放されて1週間か......」


 回収できたアイテムのうち、レアは1個、スーパーレアは4個、Sランクは商売道具のダウジング装備ことマグネットバーを含め2個だった。


 アイテムを探知→回収する→走って逃げる→売る→ぼっち飯→宿に泊まるという生活サイクルを繰り返し、なんだかんだで合計2,200,000ゴールドの稼ぎになった。


「Sランクの宝玉を売っただけで1,000,000超えた......俺もうプチ成功者じゃん......」


 もちろん食費や宿代などで差し引きされるので、実際の残高は2,000,000ゴールドだが、すでに十分すぎる貯蓄と言えるだろう。


「みんな聞いてくれー。今日はギルドの在庫処分サービスをやるぞ! ごく一部だがSランク装備も残っているし、今がお買い得だ!」


 ......どうやら武器屋のおっさんが売れ残った装備品を叩き売りしているらしい。


「うおおお......スーパーレアのエターナルソードが100,000ゴールド......?」


「これはドラゴンの火炎ブレスをも防ぎきれるスーパーレア防具…巨岩龍の盾じゃないか......!」


「売れ残りのSランク装備品は......ああーダウジング用の装備かあ......」


「超マイナー職の装備なのに1,000,000ゴールドとか、誰が買うんだよこんなの」


「まあまあ、そう言うなって。Sランクの品は1年に何個か集められれば良いほうだ。何かの記念品にはちょうどいいだろう」


「いや、さすがに高すぎるわー。100,000なら考えたけどさ」


「じゃあ俺は大剣のドラグーンバスターを買おう。300,000の出費は痛いが......最近は大型モンスター、特にドラゴン狩りが一番儲かるしな」


「なら俺は巨岩龍の盾......ドラゴン狩りが流行の今が買い時だろう」


「よおし冒険者ども、お買い上げ感謝するぜえ......!」


 武器屋に群がっていた冒険者たちが早い者勝ちだといわんばかりの勢いで、欲しい装備品を格安で購入すると、あっという間に姿を消した。


 そして案の定、Sランクアイテムであるダウジング用装備が売れ残った。


「すみません......このダウジング装備なんですけど......」


「ああ兄ちゃん。そういやダウジングを生業にしてたよな。良かったら見てみるかい?」


「はいっっ、是非見たいです。売れ残っているものを教えてくれませんか?」


「ああいいぜ。そうだなあ......ゴールデンサーチャーと、サーチデバイスが売れ残ってるなあ」


「値段の方は......お高いですよね......」


「ギリギリまで値下げしても、それぞれ1,000,000が限界だなあ」


 合計2,000,000というドンピシャで買える価格だった......。確かにギリギリ予算はあるが......慎重に考えるべき値段だな。


「一旦、現物を見ても良いですか?」


「ああいいぜ。両方カウンターの上に置いておくから、検討してみるといい」


 性能を確かめるために、マグネットバーを持ちながらダウジングスキルを発動してみる。


 ーーーーピピピピッッ!!!


 大きな音が脳内へと響き渡り、確かにSランク装備だと鑑定される。


「なるほど......偽物という心配はなさそうだ」


 次に性能をチェックしてみることにした。


 まずは金属探知機のような見た目をしたゴールデンサーチャーだが......Sランクアイテム・アクセサリーの探知率100%だった......。


「なんだこのぶっ壊れ......!」


 そしてスマホのような形をしたサーチデバイスだが......Sランク武器・Sランク防具の探知率100%だった......。


 さらに、"どちらの装備もヒントになる情報を集めれば目当てのアイテムを探知できる"というメッセージが表示された。


 具体的には、“何かしらの情報さえあれば特定のアイテムをピンポイントで探知できる機能”らしいが、まだ使い方がよく分からないので、実際に試していくしかなさそうだ。


「なんでこんな壊れ性能のものが売ってるんだ......?」


「ほおー兄ちゃん、性能を確かめるスキルなんか持ってんのか。それはさておき、どうする?」


「買いますっっ! 2,000,000でっっ!」


 今買わなきゃ元の定価に戻されるので、さっそく購入を決意し、ギルド銀行から有り金を全部引き出した。


「よし、確認するぜ......。おう、ちょうどだな! お買い上げ誠に感謝するぜ!」


「こちらこそ、こんなすごい装備を売って下さって、ありがとうございます!」


 また資金がゼロに戻るけど、買い集めた破格性能の装備品でダウジングすれば良いだけのこと。


「確定Sランクのダウジング装備......あまりにもぶっ壊れすぎるだろ......」


 どちらも、磁石の棒なんかより遥かに高いレベルのチート性能を誇る装備品だ。


 もちろん、最初にマグネットバーを発見したからこそ装備品を買うことができたので、その恩もあって決して売ることはしない。


「ぶっちゃけ、レアやスーパーレアのものが必要になる可能性もあるしな......」


 というわけで棒切れやダウジングバーも相変わらず所持しておくことにした。


「何はともあれ、ようやくダウジングの最適解が整ったぞ......!」

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