第25話

 一瞬にして魔物の群れを壊滅させた私。ルイさん以外は驚いた顔をしてその様子を見ていた。中には腰を抜かしたものもいた。

「ね?言ったでしょ?彼女……ミーシャさんは最強だと」

 なぜかルイさんが誇らしげに語っている。

 私は魔物の群れの残骸を冷酷な目で見ていた。紅蓮の瞳を輝かしながら……。

 レッドムーンテンペストから1週間後……。

「いやぁ、まさか政府の者からのお呼び出しとは参りましたねぇ」

「そそそ、そうですね」

 功績を上げた私は政府から呼び出されていた。おそらく国王も来るだろう。

「私も同席を許可していただきましたのでご安心くださいね?ミーシャさん」

「あ、ありがとうございます」

 引きこもっていたがゆえに私は人見知りになっていた。というかもともと幼少期から人見知りなのである。

「では行きましょうか。それから……覚えていますね?」

「はい」

 そして国会議事堂に到着した。

「よくきてくれた。<結界の魔術師>ルイ・シャルル。そしてミーシャよ」

「ええ、さて今日は何用でしょうか?」

 ここはルイさんが話してくれる。私はいつも通り目深にフードを被っていて沈黙している。このことから沈黙の少女なんて呼ばれている。

「今日はミーシャに肩書を与えたいと思っているのだ。ですよね?国王様」

 国王様を見上げて聞く男、首相のコレイ・コント。支持率はここ最近落ちてきており、豪華な食事をしているのか太っている。このことから密かにメガトンコレイなんて呼ばれている。(本人は知らない)

「うむ。肩書きをもう決めてあるのだ。受け取ってくれるか?」

 ルイさんは私の方を見てきたので私は頷いた。ここまで作戦通りである。

「はい、構いませんよ?」

「そうか。では、ミーシャの肩書きを与えよう。今日から<天才魔術師>ミーシャと名乗るがよい」

 国王様はそう宣言した。もう少しかっこいい肩書きはなかったのかとも思う。

「して、今回のレッドムーンテンペストを1人で壊滅させたという。もうひとつそなたの願いを叶えよう」

((きた!))

 ルイさんと私は頷きあう。

 ここからが私とルイさんの復讐劇が始まるのだった。


















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る