第3話 課題

配られた課題に教室中が騒然としていた。1つ目の課題からインパクトがあったが他の課題も中々に骨が折れそうな物だった。


☆課題1

クラスの中で決闘を行い力の序列を作れ。

☆課題2

クラスの中で1人対象に魔法のレポートを作れ。

☆課題3

他クラスとFクラスの違いを纏めろ。

☆課題4

図書館で魔法の起源についてのレポートを作れ。

☆課題5

魔法都市ポラリスのギルドに行きクエストを1つクリアしろ。

☆課題6

3種の魔力性質の違いと利点を纏めたレポートを作れ。

☆課題7

自身の欠点を纏めたレポートを作れ。

☆課題8

自身の強みを纏めたレポートを作れ。

☆課題9

アルスタリア学園の起源についてのレポートを作れ。

☆課題10

クラス全員で協力して担任であるムゲンに一撃入れろ。(不意打ちでも可)


「この1ヶ月は課題優先で授業は一切行わない。決闘は俺が立ち合う。キツくてやってられないなら退学してもらってかまわないぞ」

そう言ってムゲン先生は教室を出ていった。想像していた学園生活とは違うものの、これから始まるという事に気持ちが高揚していた。

先生はいなくなってしまったが、つまり今から課題開始ということだろう。まずはどの課題から始めようか一覧を見ていると肩に手が触れた。

「なぁ!良かったら俺と一緒に課題進めてかないか?どう見ても複数でやった方が効率がよさそうなんだ」

声をかけてきた男子生徒は僕と同じ位の身長で髪がツンツンと逆立っている。

「助かるよ。ぜひ一緒に進めたい。僕の名前はシオン。君は?」

「俺はロナン。ポラリスから東にある街から出てきたんだ。まったく名門入ったのにいきなり洗礼受けちまったもんだ」

握手を交わしてわかった事があった。ロナンはかなり強い。手のひらの皮の硬さが物語っていた。このレベルでも下のクラスというのだからアルスタリア学園は凄いのだと実感した。


「おやおやムゲン先生ではありませんか?!最底辺クラスを持って大変でしょう?いや〜私のBクラスの生徒達を指導することになれば実に楽だったでしょうに運がありませんねぇ」

「いやいや。俺は望んでFクラスを担当させてもらうよう理事長にお願いしたんですよ。お構いなく」


教員室でムゲンは溜息を吐いた。Fクラスを排他的思考で見ているナタリア教諭に絡まれてしまった。実力と指導力こそあれど人格に難がある為なるだけ関わりたくない。困ったもんだと思っていた所に若手教諭のシシルスを見つけた。

「どうだシシルス先生。初の担任は緊張したかい?」

シシルスはナタリア教諭を見ると眉間に皺を寄せたがすぐに咳払いをしムゲンを見て口を開いた。

「緊張しているのは生徒達の方で私がするのはお門違いかと」

「相変わらずお堅いね」

「ふふん2人とも。2ヶ月後のクラス対抗戦、楽しみにしてますよ!BクラスがAクラスを追い抜き1番優秀だということを証明してみますからね」


ナタリア教諭の言葉に、教員室の空気は変わった。

毎年アルスタリア学園は入学して2ヶ月後にクラス対抗戦が行われる。ルールは毎年違い担任達はそのルールを直前まで知らされない。クラス対抗戦は生徒達だけではなく教員達も試される。ムゲンが課題を出したのもそこに照準を合わせているという狙いもあった。

血の気が多い人間が多くて困るなとムゲンが思っているとこちらに歩いてくる人物が視界に入った。

Aクラス担任のアリシア教諭だった。長い髪をなびかせながらハイヒールの音が近づいてくる。

「万が一、が起きるといいですねナタリア先生」

「ぐぬぬぬ、小娘が!何故、今年Aクラスの担任になれなかったのか、ぐぬぬ…まぁいいでしょう。今年のBクラスは優秀すぎるくらいですからね!」

1年間この教師陣でこの学年を纏めていくのかと思うとムゲンは溜息が漏れてしまった。だが漏れたのはムゲンだけではなかったらしく若い教諭もまた同じだったようだ。


「とりあえずこのレポート系を纏めていこう。つっても明日からでいいだろう」

「そうだね。明日からよろしく」

「おう。じゃあまた明日なシオン」

ロナンと別れ教室を出た。校舎を出ようとした時だった。肩を掴まれた。強いな。そう思いながら振り返ると同じクラスの男子生徒がいた。

「俺は鼻が良くてな。お前から魔力の匂いを一切感じねぇ。序列を決めるならまずは雑魚からだ。お前、俺と決闘しろ」

「課題が進みそうで助かるよ」


「はっはっは。大変だったっねムゲン先生」

理事長室でムゲンはソファに項垂れながら天井を見上げていた。

「大変だったねじゃない。アルスタリア学園の生徒の質より教師の質を上げたほうがいいんじゃないか?」

「お、言ってくれるな」

リーリアはムゲンの言葉を気にもせず紅茶を飲む。

「まさかAクラスじゃなくてFクラスの担任を任せてって言われるとは思わなかったから驚いたよ」

「俺はね理事長。たかだかクラス分けで学園生活が決まっちまうような事があっちゃならないと思ってたんだ。そんなつまらない事で才能が埋もれちまうようなこともな」

「それでFクラスに?」

「まぁそんなとこだ」

「流石は元グリーディア帝国軍隊長殿。楽しみにしてるよ」

「昔の話だ」

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魔力ゼロの僕が名門魔法学園に通います 秋月睡蓮 @akizukisuiren

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