第174話 精霊王への報告 ★リオ SIDE
今回報告に行くのは私とカミルに婆やとライト。そして帝国からはジャンとリアが来てくれる事になったわ。後はそれぞれの契約精霊ね。
「リオ、坊や!良く来たな!シアも元気そうで何よりだ。他の者達もゆっくりして行っておくれ」
「精霊王、先に帝国の2人を紹介したいのだけど……」
「あぁ、我は視ておったから知っておるが、2人からすれば初対面だったな。我は精霊王イナリ。ジャンとアメリアだったな?精霊達の為に尽力してくれた事、本当にありがとう。感謝しておるよ」
気さくに声を掛ける精霊王に、ジャンとリアはビシッと爪の先までしっかり伸ばして固まったわ。まさか精霊王にお礼を言われるとは思わなかったのでしょうね。
「あ、ありがたきお言葉!改めまして、私はアンタレス帝国の皇太子でジャンと申します。お見知り置きいただいている様で、嬉しく思います」
「わたくしはアンタレス帝国の皇女でアメリアと申します。我々を見守ってくださり、感謝致します」
2人とも、しっかりと腰を折って挨拶している。皇族も頭を下げちゃ駄目って習うんだろうけど、やっぱり相手が精霊王では仕方ないわよね。
そう言えばアンタレス帝国は精霊信仰だから2人の反応は当然なのかしらね?私は気軽に女神様も精霊王にも会えるから、ありがたみが足りてないのかしら。もっとしっかりと
「うむ、そなた達が頑張ってくれたお陰で、物事がスムーズに進んだと聞いている。良くやってくれた。大したもてなしは出来ないが、リオが昼食を振舞ってくれると聞いておる。楽しんでいってくれ」
「「ありがとうございます」」
あぁ、そうだったわ。今日は私が日本食でおもてなしする事になったのよね。精霊界にはお店なんて無いから、誰かが作らなきゃならないのよ。婆やも手伝ってくれるみたいだし、6人前ぐらいならコテツさんの
「それじゃ、私は昼食を作ってくるわ。2人とも、自由にしていて大丈夫よ」
リアとジャンは皇族だもの、料理を作るところまで付き合わせる必要は無いと思って声を掛けた。貴族は料理しないのが普通らしいからね。
「ねぇ、リオ。わたくしも『ニホンショク』を作っている所を見てみたいわ!」
「それは構わないけど、つまらないと思うわよ?」
「リオちゃん、婆やは未だ飽きずに見ていられるぐらいには楽しんでいるから、リアちゃん達も楽しめるかも知れないわぁ。飽きたら精霊達と遊んでいたら良いのだしねぇ」
「そうね、飽きたらそうしたら良いわね。初めて見るものって確かに興味が湧くから気になるわよね」
自問自答して納得した私の腕に、ソラがスリスリと頭を擦り付けて来た。
「リオ~、オイラも手伝う~」
「ボクも~」
「あら、ソラ達は王様とお話しないで良いの?精霊界へ帰って来ないと会えないお友達もいるんでしょう?」
甘えてくれるのは嬉しいけど、精霊は仲間を大事にする事を知っているからね。自由に行き来できるとは言え、折角帰って来たのだから遊んで来て良いのにね?
「すぐに帰る訳じゃないんでしょ~?後半暇になりそうだったら会いに行って来るよ~」
「あらあら、後半には暇になるのが確定しているのね?ふふふ」
「そうだね~。ニンゲンの世界は毎日が
元々ソラは私の考え方に近いと思っていたけど、どんどん私に似て来た気がするわね。何も言わなくても
「あらまぁ、ソラちゃん達もリオちゃん達との生活に
「ふふっ。叔母様もリオも働き者だから、きっと毎日が忙しかったのでしょうね。精霊の行動で契約者の性格が分かるわよね」
そう言うリアの精霊も、きっと同じ事を考えてそうよ?精霊の事はまだショックなのかも知れないから、言葉に出しては言わないけれども。
「それじゃ、昼食は皆んなで作りましょうか。材料は私の亜空間にあるから……婆や、私が出した物を下処理してくれる?ソラ、その
「任せて〜!」
「ボクもやる〜」
精霊達もキャッキャと楽しそうに、ご飯作りを手伝ってくれるのだった。
⭐︎⭐︎⭐︎
昼食も摂り、お腹いっぱいになったからか、皆んなでまったりとして居るわ。満足して貰えた様で一安心だわ。美味しいと言って貰えるのは、やはり嬉しいものね。また機会があったら食べて欲しいと思っているわ。
さて、私も精霊王に話すべき事を話しておかないと。のんびりまったりとしてるうちに忘れちゃいそうだからね。ライを連れて、精霊王に話し掛ける。
「王様、ライトの事なのですが……」
「あぁ、この子はコテツの子なのだろう?基本的な教育は我がしてやろうな。読み書きは最低限出来るのか?」
「絵本は読める。それ以外の本はあまり見た事が無い」
「そうか、そうか。坊や、坊やが昔使っていた勉強道具を貸してやってくれるか?」
「うん、良いよ〜。持って来るね〜」
ソラはポンッ!と消え、次の瞬間にはポンッ!と現れた。きっとソラのお部屋は片付いているのね。お部屋が散らかってると、見つけるのに時間が掛かるものね。
「はい、どうぞ〜」
「ありがとうございます、ソラ王子」
「ライト、オイラの事はソラで良いよ〜」
「ソラ様、ありがとう」
精霊も人間と同じで上下関係はあるのね。強い者が上だと言う考え方で良いのかしら?そうであれば、ソラはライより強いって事になるけれど、ライはハーフだからまた違うのかしらね?不思議だわ。今度聞いてみようかしら。
「うん。簡単な本も数冊持って来たから、興味がある本は読んでみると良いよ〜」
「あら、どんな本を持って来たの?」
精霊達の本なんて面白そうよね!私は言語が勝手に翻訳されるから、精霊の言葉で書かれていたとしても、恐らく読めるとは思うわ。それに、絵本は大陸共通語で書いてあった訳だし、大丈夫よね?
「『精霊と雲の深い繋がり』とか『精霊の色はカラフルでワンダフル!』ってお話しだね〜」
「まぁ!面白そうなタイトルね?それは私も読んでみたいわ!ライ、読み終えたら私にも貸してくれる?」
「ん?あぁ、分かった。
「それで良いよ〜。オイラが回収に来るよ〜」
「ふふっ。ありがとうね、ソラ。私ももっと、精霊の事についても知りたいわ。ライトと一緒に勉強でもしようかしらね?」
「こっちに来た時に少しずつ勉強して帰るとか〜?」
ソラが楽しい提案をして来たわね。確かに精霊の事は精霊界で学んだ方が良さそうだし、ゆっくり時間が流れるから焦らずに済むもんね。
「良いわね。こちらに来る言い訳にもなるわね?ふふ」
「お!それは良いな!勉強が理由なら、月に数回は遊びに来れるな?」
「王様~、遊びにって言っちゃってるし~。勉強をしに来るんでしょ~」
ソラがしっかりとツッコミを入れたわね。やっぱりソラ達精霊は、精霊界へ里帰りするのは嬉しいのかもね。皆んなが乗り気だから、きっと勉強しに来る事になるでしょう。
「おっと、そうだったな。クックッ。ライトの事は安心するが良い。ライトよ、精霊や人間に迷惑をかけた分、これからはしっかりと社会貢献するのだぞ?人間には罪を償うという考え方があるが、そなたの場合は人間の立場で裁くと大変な事になるからな……」
「精霊の王様、ちゃんと分かっている。吾輩は、リオの為に生きたいと思っている。リオとカミルは民の為に生きるのだろう?吾輩はその手伝いをする事で、社会貢献とやらを成し遂げようと思っている。だから、吾輩はもっと勉強せねばならんのだ」
私達の立場や、ライがどのように生きて行きたいかを、自分でしっかりと考えてくれているなんて嬉しいわね。そしてやる気もある。私もお勉強とか、何かお手伝いをしてあげられたら良いんだけどね。
「おぉ、凄いじゃないか。良く分かっているし、ちゃんと考えて行動が出来るのだな。ライトよ、お前は賢い子だ。これから勉強する事で、リオ達の助けになれるだろう。心して励むのだぞ」
ライは大きく頷いた。毎日が忙しくて、ライの事が後回しになっていたでしょう?急ぎの用事や、その時にしか出来ない事もあったから仕方ないのだけれど、本当に申し訳なく思っていたのよね。これでやっと肩の荷が
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