第160話 皆んなで楽しい素材集め ★リオ SIDE
ダンジョンの入り口は人が多くて目立つという事で、ソラと爺やがダンジョンの中でも人の少ない場所を探してから転移魔法でそこに移動する事になった。サイラスとリューが最近暴れ足りないとワクワクしているのが見て取れるわね。これまでは最前線で働いていたのだから、私の護衛では物足りないのは理解してるけどね?ま、実は私が一番テンション高い気がするけど、お淑やかに大人しくしてるフリをしてましょ。
ソラの転移魔法で移動して来たのは、地下2階の階段の踊り場だった。階段はダンジョンの手前と奥にあるらしく、ここは奥の階段で人影は無かった。
「浅い階でも奥側の階段なら人は少ないみたいだね~」
「この
「はーい!サイラス、行こう!」
「あの群れに飛び込みましょうか?」
「群れの少し手前で止まってくれる?魔力を放出する練習がしたいわ。まだ、調節が甘い気がするのよね」
「かしこまりました。群れのギリギリ手前で止まります!」
そう言い残してサイラスは猛スピードで魔物の群れの手前まで走って行ってしまった。私は少し慌てたが、気を取り直して魔力を少しづつ放出する。私の魔力に気が付いた魔物からこちらに向かって来るが、サイラスが壁となっていて全くこちらには攻撃が通らない。ある程度の数が押し寄せてきた様なので、私も双剣を構えてサイラスの元へ走った。
「リオ様!あの青いトカゲの首を落としてください。
並行して走っていたリューが材料になる魔物と狩り方を教えてくれる。心なしか、リューの声も楽しそうに
「了解!」
青いトカゲは
「トカゲの皮はもう十分じゃから、高めの素材をある程度集めたら下の階へ移動しようかのぉ」
ほんの10分かそこらでトカゲの皮が大量に集まったわね。他にも沢山の材料が必要だから、持って来たリュックに材料を詰めるのも腕が必要ね。今狩った魔物で素材が高い物は魔導師団で使う為に集めるらしいわ。まぁ、入らなければ私の亜空間『ソラそら』があるから大丈夫よ。生き物で無ければ大量に入れられるのよね。
「かしこまりました。リオ様、後は我々が素材を集めて参りますので、ソラ殿といらしてください」
「ええ、分かったわ。よろしくね、サイラス、リュー」
「「はっ!」」
⭐︎⭐︎⭐︎
狩り始めてから3時間ぐらい過ぎたかしら。一度休憩を挟んでから、1番希少な素材が採れる狩場まで降りて来る事が出来た。もっと深くまで階はあるらしいのだけど、今回必要な材料ではこの階までで足りるらしいわ。
「ここが地下32階じゃな。あそこに見える、熊のような魔物がターゲットじゃ。この階には熊の姿の魔物が5種類いるからのぉ。必要なのは一番数の少ないあの背中に
これまで見て来た魔物の中でも、ずば抜けて大きいわね。熊の魔物は全てが巨体で、30体ほどが私達の視界に入っているのだけど、赤茶の体に黒に近い濃い緑色の苔が生えている熊は、その中に3匹ぐらいかしら?
「これが今回だけでは難しいかもって言われていた希少な素材なのね。頑張って狩るわよ!」
「あ、リオ様!この魔物は首回りがかなり丈夫なので気を付けてください!首を落とさないと、希少な素材が濁ってしまうらしいので、この魔物もスパッとお願いします!」
リューがすかさず説明してくれる。頼りになるわね。
「了解!行くわよー!」
魔物達は私に向かって突進して来る。魔力を放出しながら狩っているのだから当然なんだけどね。最初は慌てていた爺や達も、あまりに湧くのが遅いからと途中からは何も言わなくなったわ。まぁ、サイラスやリューも前線に出て来たら戦力過多で、あっという間に魔物が
地下32階に到着してから1時間程経っただろうか。まだまだ皆の表情には余裕があるけど、そろそろ王城へ戻って湯浴みをしなければカミルにバレてしまうわ。夕食までにはちゃんと帰らないと、カミルに何故お城に居なかったのかと聞かれたら……私だけじゃ、言い逃れ出来る気がしないのよね…………
「爺や、材料は足りそうかしら?」
「あぁ、そんな時間かのぉ。材料はとっくに揃っておったぞ?今日はサイラスやリューも楽しそうに狩っておったからの。普段は魔導師団がギルドに頼んで買い取っている材料を、ワシは暇じゃし折角じゃから集めておったのじゃ」
爺やの背後には、山の様に高く積み上げられた沢山の素材が。爺やって
「あら。言ってくれたら手伝ったのに」
「ホッホッホ。十分手伝ってくれておるぞ?あの緑色の熊の魔物はA級魔物でのぉ。本来であれば、5人以上のちゃんとしたパーティーで来なければ倒せないと言われている魔物なのじゃ。今回は60匹分の材料が採れたからのぉ。十分過ぎる量なのじゃよ」
「そうなのね。お役に立てたのなら良かったわ」
頷きながら微笑んで答える私に、優しい眼差しで説明してくれる爺やとまったりしていると、フワフワと浮いていたソラが急にクルンとその場でバク転?をして見せた。
「リオ〜、カミルが困ってるってシルビーが言ってるよ〜。
「
ダンジョンにも名前があったのねーなんて呑気に考えていると、爺やがスクッと立ち上がったわ。動くのかしらね?私は取り敢えず、私の亜空間に素材を全部しまっちゃいましょう。どちらにしろ、ここからは動く事になるでしょうからね。荷物があっては不便でしょうし。
「このダンジョンの事じゃ。助けに行くかのぉ?」
あら、このダンジョンなのね。偶然近くにいるのだし、答えは一択よね?ふふっ。
「当然よ!人を
防衛戦は大きく動く事が出来ないから、守っている人間を庇って怪我をする可能性もあると習ったわ。まぁ、負傷者が複数人なのか、それを何人で守ってるか、にもよるんだろうけどね。今回は救援を呼べるぐらいには人数が居たという事になるわね。
「そうじゃな。騎士団の者が救援要請する事は珍しいからのぉ。我々なら戦力も十分……まぁ、カミルには内緒で行かんとストップが掛かりそうじゃがな?ホッホッホ」
「人命優先でしょ!でも、一応伝えておく必要はあるかしら。ソラ、国王陛下に許可を貰って来てくれる?爺やが倒したいって言ってるからって!ふふっ」
私が主導して行くと言っては許可が貰えないでしょうから、爺やに立ち上がって貰いましょう?ふふっ。直ぐに私の魂胆なんてバレると思うけどね?ふふふ。
「リオ……まぁ、王様は分かってると思うから良いんだろうけど〜、
「よろしくね、ソラ」
ソラがフッと消えて、静寂が訪れたが直ぐに下へ向かう階段の方へ体を向けた。爺やも私の護衛2人も後に続く。私の行く先を邪魔する魔物を斬り捨てながらどんどんと進んで行く。
「ふむ、先に50階辺りまでのんびり進むかのぉ?」
「ええ。逃げて来た者達が少し上の階で困ってるかも知れないし、緊急性があるなら時間が惜しいわ」
バッサバサと魔物を
「そうじゃな。ソラ殿はリオの位置を把握してるじゃろうし、先に進むかのぉ。サイラスにリュー、分かっておるな?」
「「はっ!」」
2人は勢い良く返事をし、サイラスが先頭になりつつ階段を降りて行く。それなりに距離はあるものの、身体強化もしているこのメンツだからね。あっという間に50階へと辿り着いたのでした。
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