第二十一話『方針決定会議録』

「あ、やっと起きた」


気を失ってた黒野くんが目を覚ました。これで全員揃ったし、今後の訓練の予定を話せるね。ルークさんが。


「ルシアが話してくれよ…全員と戦ったのお前だろ」


「全部見てたじゃん。メモもしてたし」


ちなみにエレンさんとアリスさんは勇者くんたちとお喋りしてる。

ちなみにわたしは混ぜてくれなかった。悲しい。


「えー…俺としては、ぶっちゃけ基礎訓練はもうほどほどにして実践に入ったほうがいいと思ってる」


「ほほう?それはどうして?」


「お前と十分やり合えてたからだよ…最後のヤツなんてお前に膝つかせてたじゃねぇか。だから基礎をここからさらに積むより実戦に入った方が実力が身につくだろ?」


「なるほどねー。でもこの子達、零獣殺せるかなぁ」


「あ?実力的には十分じゃねぇか?最初から強いやつと戦う必要はねぇだろうし」


「いやー…これまでぬるま湯に浸かってきた人がいきなり殺すか殺されるかってかなりしんどくない?知らんけどさぁ」


「…お前、他人の心情を慮ることできたんだな」


「どういう意味だよ」




◆◆◆




「これより、第一回僕会議を始める!」


「いぇーい!」

「よっ!」

「待ってましたー!」


「今回の議題はズバリ、拠点を何処にするか!この前新しく我々の仲間入りを果たした眷族、『眼球蜻蛉』が寝る間も惜しんでこの大森林一帯を探索してくれた結果、良さげなポイントが幾つか見つかった」


僕の『悪虐非道』は人型の眷族だけじゃなくて見たことのある生き物を模したやつも作れるみたいで、飛ぶのが速そうな蜻蛉にここのところは探索を任せていた。


ちなみに元本体の眷族は合計で17人、僕を入れると18人も同じ顔したやつがいるのですごく困惑する。


「さすが!」

「あの子達ならやってくれると思ってたよ!」


「選択肢は4つ。まずひとつ目は湿地。森の中に湿原ゾーンがあって、その中央に大規模なリザードマンの集落があるらしいから、そいつらを皆殺しにしてそこに拠点を作る案」


「じめじめしてそうだね」


「ふたつ目は巨木。森の中でも特に巨大な木を加工してツリーハウスを沢山作る案」


「へー、面白そう!」


「みっつ目は古城。森の中央ちょい奥くらいのところに古城っぽい遺跡群を発見した。因みにそこにはめちゃ強そうな魔物がいた」


「え、そんなの3つめ確定じゃん。古城とかちょーロマン詰まってる!」


「まあ待てって、最後まで聞こうぜ?」


「最後は僕たちがこの3つに分散して住むこと。もちろん本体の僕は古城ね!」


「おい!本体だけ抜け駆けとか狡いぞ!」


「なんで分散するんだ?」


「僕らの異能なら本体が死んでもスペアに乗り移れるだろ?リスクの分散的な意味なんじゃね?」


「そうそう、イグザクトリー!」


「ならさ、そろそろアレ…作っちゃおうぜ?」


「どれ?」


「四天王、だよ!」


「おお!遂に作っちゃう⁈」


「待て待て。まずは人数の分配をだな…」


「どんなコンセプトで行くぅ?個性はバラけさせたいよね!」


「幼い見た目のスピードタイプは外せないよね!」


「本体のスペアの僕たちは除外するとして…」


「おい一体感どうしたよ!」


「パワータイプはほぼ必須だよなぁ」


「話まとめようぜ…」


会議は踊る…




⬛︎⬛︎⬛︎




「-じゃあ黒野くんの案を採用で…『パワーレベリング』、だっけ?」


「はい、まずは殺生に慣れるために動けなくなった零獣?を倒すのが簡単かと…」


指針は決まった。魔境へ赴いてルーク、エレン、アリスの3人が手頃な零獣を確保し、勇者たちが順番でトドメを刺していく。わたしは護衛だ。

見たことない零獣がいたら解析だけしておこうかな。


「よし、じゃあ早速明日から魔境に潜る!今日はしっかりと休んどけよ!」


わたしも勇者の友達を作るため、トークに花を咲かせなければ…




◆◆◆




「だぁーっ!もう!ぜんっぜん話まとまんねぇじゃねぇか!」


元本体たちは僕の痕跡が残っている分めちゃくちゃ自我が強い。主人の命令も聴いてくれないしさぁ!


「もう!四天王は作る、拠点は3つに分ける!以上!かいさぁん!」


「ちょぉい!まだ本体が古城確定なの納得してないからな⁈ここは本体も含めてくじ引きで決めるべきだろ!」


「もぉー!本体権限発動!閉廷!」


会議は…まだ踊っている。




⬜︎⬜︎⬜︎




「うっわ、闇龍王ちゃん封印から出てきちゃった」


「長年沈黙を貫いていたのにか?何か興味を惹かれる物事でもあったのか…」


「これ、他の龍王ももしかしたらもしかしちゃう?」


「そうなったらまずいねー…」


「ふむ…正しき処罰を再び与えねばな」


「…」


「てかさぁ、ま〜た第七席来てないじゃーん。何連続欠席だよ。新記録とっくに打ち立ててるって」


「アイツはそういうやつだからね」


「もう諦めるしかないのよ」




★★★




わちゃわちゃした回が書きたいなぁと思った次第です()


昨日今日でPV、ハート、星、フォロワー様が爆増(当社比)しまして…感謝の限りです!


もう少しで三桁行きそうですし…モチベーション爆アゲですわよ!

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