2-5
夜が明け、俺たちはアリジャスに向かうことにした。
このままいけばアリジャスには昼前には付きそうだ。
「リンさんは街についたらこれからどうするんですか?」
「…まだ決めてないわ。カイさんはどうするの?」
「俺はギルドに行き冒険者登録をします。2,3日したらまた旅に出るつもりでいます。」
「そう…どうして旅をするの?」
旅の目的か…
明確な目的はないかもしれない。
この世界に転生してからずっとあの家で育った。
世界を見たい、いろんな人と話したいし、困ってる人がいたら助けたい。
いろんな思いがある。
「いろいろあるけど、一番は誰か困ってる人がいたら助けたいからかな。なんか困ってる人見ると胸の底が熱くなって気が付くと走り出してるんだ。」
「変な人。」
変な人か…
久々に言われたな。
小さいころからずっと言われてきた。
『弱っちい癖に何がヒーローだ。変なの。」
『中学生にもなってまだヒーローとか言ってるのかよ、変な奴。』
『おいおい、大学生だぜ?現実見ろよ。ほんと変な奴。』
『休日にボランティアでヒーローやってんの?一銭にもならねーのによくやるよ。変なの。』
「たしかに変かもね。それでもいいんだ。周りから何を言われようと俺は俺だ。」
「…ごめんなさい、悪口でいったつもりはないの。私たち亜人は今まで他種族の人とかかわることがなかったから…」
「あ、いや、怒ってるわけじゃないんだ。ちょっと昔のことを思い出して…」
「昔って、あなたそんなに年いってないでしょ?何歳?」
「16歳ですけど…」
「なんだ、私の一つしたね。」
リンさんは17歳らしい。
年が近いからかお互い少しずつため口になっていった。
いろんなことを聞いた。
亜人はほかの種族に合うことがないから結構人見知りだとか、警戒心が強いとか。
とほかにもたくさん聞いているとアリジャスが見える丘の上についた。
「ここが…アリジャス…」
とても大きい街だった。
人もすごく多い。
ギルドがあるからなのか冒険者もいっぱい見える。
「ほんとにキルを連れて行って大丈夫なのかな…」
カリアさんが言うには魔物使役魔法が付与されている魔道具を持っていると魔物を連れていても街に一緒に入れるとか…
確かに目を凝らしてみると魔物を連れている人がちらほらいる。
…が、みんな連れている魔物は温厚そうな魔物ばかり。
「…とりあえず行ってみようか。」
俺たちは街の門に向かった。
少し遠めに警備員が見える。
…なにかひそひそ話てないか?
なんなら臨戦態勢になってない?
「そこのもの!とまれ!そのキラーキャットは使役している魔物か?」
俺はカリアさんからもらった笛を上に掲げ
「はい、この笛で使役しています!」
「そのままそなたとキラーキャットだけ来てもらおうか。」
俺とキルは前に進み警備員の前に来た。
すごく睨まれる。
こんなにも睨まれるのは初めてだ。
「うむ、目もおかしくないし大丈夫だろう。すまないね、何年か前にキラーキャットが町を襲う事件があってから初めて来る人は警戒するようにとなっているんだ。若いのにキラーキャットを手懐けるとはすごいな。」
「ありがとうございます。」
「見たところ冒険者になりに来たのか?ギルドカードに使役モンスター欄があるから登録したらほかの街でもこうした確認なくなるから。」
最初はすごく怖かったが大丈夫と分かったとたん優しい顔になった警備員さん。
ほんと怖かったよ。
「おーい、リンさん!もう大丈夫!」
「焦ったわ。悪い人と街にきたのかと思ってしまったわ。」
何とか街に入れた俺たち。
街の中はお祭りかと思うほど賑やかで楽しそうな雰囲気だった。
こんなにも人が多いなんて…
「俺たちはギルドに向かおうと思います。リンさんは…」
「私も行くわ。一応登録しておく。」
「じゃあ、行きましょうか。」
俺の初めての外の街の印象はとても楽しいと思えるところだった。
でもまだ思いもしなかった。
この後、大変な騒動になるなんて…
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