第35話
「姫様。」
「?」
そう言われて振り向いた彼女は75代目の聖女である。
つまりはこの転生の原因である。
「今更ですがなぜこのような采配にされたのですか?」
人を決める技術を30代目が作り、そこからずっと使われている。
通常であれば異常。なぜならこれまでの聖女は全て仲がいい人を采配してきたからである。
「、、なんでだと思う?」
「仲がいい方が、、そちらの方が全員で協力できて、、」
「協力?」
「え?」
「あなた。資料をじっくり見ていないわね。これまで四天王を倒してきた勇者。それは協力して、全員で倒したの?」
「。。。」
「違うわよね。1人。結局1人。どんな人が多いか。死ぬ気でやっている、とか戦闘狂とか。」
「、、、」
「そして第5代目。最初なのにも関わらず四天王を3体倒した。あの頃は人を選べなかった。倒した勇者はいじめられっ子。」
「ま、、まさか。」
「そう。結局魔王を倒し、最強に至るのは逆襲心に燃えていて、死ぬ気の覚悟がある人なの。」
「たし、、かにゴッドスライムはいじめられっ子でしたね。」
「でしょう。そしてもう一つ。加害者にもある程度強い能力を付与する事。そうしないと逆襲者はすぐにクリアして、燃え尽きてしまう。」
「は、、はぁ」
「強くなるためには必ずモンスターを倒さなければならない。もちろん四天王が危惧して殺しにくる。そこで4天王を倒してくれるはずよ。」
「で、、ですがメガネは、。」
「大丈夫。手は打ってあるから。」
と奇妙に笑った。
***
「君、、転生者?」
「、、?」
今俺は人間と対戦中である。
レベルアップを早い事するために、少しだけ強いゴブリンで戦っていたところ会ってしまった。
「ご、、ゴブ!」
「そんな鳴き声じゃないし。」
「、、、」
「まずモンスターがモンスターを倒すなんて普通ない。しかもゴブリンが、、」
「と言う事はお前も。」
「そう。馬場桜」
「俺はここでの生活が一番いい。前の名前なんて名乗らない。」
「そう。でも逃げてたら結局誰かが魔王を倒して帰ることになる。」
「、、そうかな?」
「は?」
「資料を見たけど一回も魔王が倒れた事はない。もしかしたら嘘かもよ。」
「、、それでもなんでそんなのんびりしているの?モンスターって事はクラスでの貴方の地位は低いんでしょう。じゃあそれを打開するチャンスじゃん?」
「それよりも誰かに操られているようで嫌なんだよ。」
「え?」
考えていることを話した。
「まぁ一理あるけど、、それでも悔しいじゃない!メガネだって頑張ってた。最近負けたのかいなくなったけど。」
「そうか。」
「しかも最近聞いたの。北、南、東が全員合流したって。せっかく強くなって、、女王を倒せると思ったのに。。!」
「それでも俺は今を楽しんでいる。そんな奴らどうだっていい。自滅してくれとは思ってるけどな。それでも奴らのせいで俺の楽しみが失われるのなら、それは嫌だ。」
前の俺は逆襲したいと感じていた。
だが色んな人と出会い、過ごしていくうちに自然にそのような気は失せた。
今を大切にしたいから。
「、、、」
「そう言うわけだ。」
「ちょっと落ち着いてみる。」
時間が経つ。
「でもそれでも許せない。私はずっと許せない。けど、、あの子のことは考える。」
あの子とはと聞こうとしたが今言うべきではない。
「あと俺男子だから。」
「?」
「お前偏見で女子だと思ってんだろ。前もそれで、、」
「そんなの気にしてない。話して面白ければ誰でもいいから。」
「あっそ。」
去っていった。
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