ホームレスから始まる現代ダンジョン攻略

第0話:大迷宮時代

　第二回皇阪万博が開催されるはずだった2025年、世界各国に突如として迷宮（メイズ）と呼ばれし局地異空間が現れ、そこから魔物（クリーチャー）と呼ばれし怪物たちが這い出た。各国首脳たちは世界中の軍隊や警察機関を世界連合軍として総動員させ、迷宮（メイズ）の閉鎖、及び魔物（クリーチャー）の殲滅にあたった。

　幸い、現代兵器が通用することが分かり、魔物（クリーチャー）たちを瞬く間に数を激変させ、事態を安静になる…はずだった。

　世界各地に地鳴りを響き渡らせ、魔物（クリーチャー）が大量に跋扈し、世界連合軍は敵の多さに対応しきれず、ほぼ全滅した。

　後にそれは、魔軍侵攻（クリーチャースタンピード）という現象と呼称され、生き残った世界連合軍はその現象の恐怖により、暴徒と化し、残る民間人は危機に晒された。

　しかし、魔軍侵攻（クリーチャースタンピード）に立ち向かう者たちがいた。

　彼らはこの未曾有の危機の影響を受けて、身体に進化樹路（ステータスツリー）という形態に覚醒し、異能技（スキル）と技能技（アーツ）の力を奮った。

　異能技（スキル）とは、炎球（フレイムボール）や魔壁（バリア）といった迷宮（メイズ）からの環境から齎される魔気（マナ）を媒介にし、物理法則を曲げ、様々な現象を顕現させる、いわば、魔法である。

　技能技（アーツ）とは、気配遮断（サイレンス）や心眼（スピリッツサイト）といった自身の身体能力や技能に培われる肉体的超常能力。

　それらの力を持った彼らは魔軍侵攻（クリーチャースタンピード）を討ち破り、一度は人類を救った。

　しかし、いつ、新たなる魔軍侵攻（クリーチャースタンピード）ことを危惧した彼らは自分たちのような戦闘技能者を冒険者（ワーカー）と呼称し、全ての人類に冒険者（ワーカー）へと進化させる育成機関、迷宮（メイズ）からの資源や魔物の素材を新たな文明発展に活用させることを目的とした研究機関・迷宮（メイズ）の監視、迷宮（メイズ）災害で取り残された一般人の救出、研究機関の護衛を担う軍隊・迷宮（メイズ）に潜入し、魔物の駆除や資源の収集などの政府や企業からの依頼を受注し、冒険者（ワーカー）を派遣する一般人職務機関の四大組織合同機関【アリスGUILD】を世界中に設立した。

　その結果、迷宮（メイズ）から採れる資源や食材が荒廃した人類社会を復興させた。

　とある魔物（クリーチャー）から採れる甲殻は頑丈な外壁として鎧や家の材料に重宝され、

　とある竜肉（ドラゴンミート）は食べれば、この世のものとは思えない美味しさを持つ上に、様々な難病を治し、欠損した肉体を再生されることで医療界や食産業に注目され、

　とある迷宮（メイズ）に咲く薬草は後遺症無しで、中毒性を持ち、裏社会の売人（バイヤー）が虎視眈々と狙われ、

　いつしか、迷宮（メイズ）は新たな市場と化し、冒険者（ワーカー）は魔物（クリーチャー）を倒す強さと迷宮（メイズ）を冒険する躍動感を持つ夢ある職業へと生まれ変わった。

　世は正に大迷宮時代、迷宮（メイズ）という理想郷への冒険が娯楽化した世界。