従士姉弟

 テールの送った斥候より魔物の情報が入り、兵を集め出撃する事になるが、その間に僕、テール、ガニアン卿、オリビア、コールで軍議を開いていた。


「斥候の情報によれば現在魔物は森より少しづつ動き出し、その方向からガニアン卿達が撤退した方向、つまりここに向かっている事が推測されます」

「こうなってくると迎え撃つ体制を整えなければな、ニック様我らが先陣として奴らを抑えます!オリビア、コール、お前達はニック様のお側につけ!」

「承知しました父上」

「ちょっと待ってください!何で父上は前線に出て俺達はニック様のお側に着くんですか?」


 僕も正直、オリビアとコールはガニアン卿についていくものだと思ったけど、そこでガニアン卿がコールに理由を話す。


「お前達はニック様の従士だろう、この場にニック様がおいでになった以上、お前達はニック様をお守りするのが最優先だ」

「ガニアン卿の案は正しいかと、私も兵を指揮して戦わねばと思っていましたので、オリビアとコールがニック様をお守りしてくれるのは安心です」

「そういうわけだ、とにかくお前達はニック様の安全を最優先に考えろ、俺やテールに何かあってもニック様をお連れし、離脱する事も頭に入れておけ」

「……分かりました、ニック様は俺と姉上でお守りします!」


 この表情、あまり納得していない感じだな、コールは割と好戦的な性格なようだし、後方で僕の護衛は物足りないのかな、このままじゃコールが腐るかもな。よしここは一言声をかけておくか!


「コール、ガニアン卿の申す事は一理あると僕も思う」

「ニック様……」

「それに僕自身も君のように強くて勇ましい者に守られるのは頼もしさを感じる、万一僕に近づく敵を討ち果たせば君の名はかなり轟くはずだ」

「ニック様、俺の事をそこまで信に置いてくれたのですね」

「当たり前だろう、将来の主君たる僕が君達を信じないでどうするんだ」

「ありがたきお言葉ちょうだいたしました。このコール、ニック様を討たんとする不届き物は成敗してごらんにいれます!」


 お、コールの目に生気が戻って来たぞ、ここでオリビアにも声をかけておかないとな。


「オリビア、君の魔法は頼りにしているが、それ以上にコールに無理をさせ過ぎないように頼むよ」

「お任せください、血気盛んなコールは私が上手く手綱を取ります」


 よし、従士の姉弟がこれで少しはやる気というかモチベーションを保ってくれるといいな。どうやら兵の準備も整ったようだし、いざ魔物の討伐へ!

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