使者の派遣
プール王国とダイダイ帝国、この2ヵ国は僕達が住むボートルト王国との緊張状態があり、今回の魔物討伐の件に関わっているのではないかとガニアン卿は推測しているようだけど、それについてテールが口を挟む。
「ガニアン卿、確かにその2国は我らボートルトを良く思ってはおりませんが、明確な証拠がない以上、滅多なことは口にしない方がよろしいかと」
「俺だってわざわざケンカは売るつもりがないが、オリビアは人間の魔力を感じるって言っている以上な……」
「ええ、魔物には簡単な縄張りはあっても国境はありませんし、プールやダイダイにとっては言い訳が立ちやすいという点も厄介です」
「……ニック様の初陣としてそこまで難しくない戦いにこれを選んだのに、思わぬ事になりそうですね」
単なる魔物討伐が国家間の問題になりそうなのか、今の僕にどこまで対処できるだろうかと悩んでいるとテールが声をかける。
「ニック様、少々複雑な問題が絡みそうですがこのまま作戦にはご参加お願いいただきたいのですがよろしいでしょうか?」
「もちろんだ、父がガニアン卿に任した土地を嫡男として見過ごすわけにはいかない。ただ……」
「ただ、なんでございましょうか?」
「事態が事態だし、現在の状況は父に伝えておいた方が良いだろう、あとは父に僕達に助力する判断は任せよう、使者の派遣をしておこう」
正直、成人したばかりだし、まずは魔物が意図的に操られて人を襲っている事は伝えておいた方がいいだろうな、だけどプール王国とダイダイ帝国が関わっているかもはガニアン卿の推測に過ぎないし、今は伏せておいてね。
「そうですね、では私の兵から使者を派遣します」
「頼むよ」
「とりあえず今起きている状況を
「はっ!」
さすがはテールだ、僕が考えていたようにガニアン卿の推測はあくまで伏せて伝える事を汲んでくれた。もっとも、テールはガニアン卿にも釘を刺していたけどね。
「ニック様、ニック様やテールの兵が加わったのなら再度の討伐の許可をいただきたいのですがよろしいでしょうか?」
「もちろんだ、だけど作戦会議は必要なんじゃないかな」
「軍議ですか、そうですね、コール!」
「はい!」
「この一帯の地図をニック様にご覧いただきたい!持ってきてくれ!」
「分かりました」
コールがガニアン卿に言われてとりあえず地図を持ってきてくれた。
とりあえず地形の確認はテールも大事だって言ってたしな。さて、どういう作戦を立てる事になるかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます