絶望に閉ざされた世界から飛び立つ少年と少女を描いた美しいSF掌編
- ★★★ Excellent!!!
絶望的な施設から脱出を試みる少年Lと少女Kの物語。
残酷な運命に翻弄されながらも、ひそかな希望を胸に未来を目指す二人の姿に心を揺さぶられます。
閉ざされた世界で生きる子どもたちの葛藤や、明日への切実な願いが、
緊迫感あふれる展開と美しい文章で描かれ、一気に物語の世界へと引き込まれました。
「雨」というお題で書かれた掌編とのことで、
雨に相反する想いを抱くLとK、そして雨を呼ぶ鳥アカショウビンが物語の鍵を握ります。
幻想的な風景描写や、キャラクターたちの繊細な心理描写も魅力。
LとKの互いを思いやる気持ちだけでなく、動物に対する心優しいまなざしも、読者の感情に深く訴えかけるはず。
冒頭は閉鎖的で絶望した状況が描かれますが、読後感は温かく、希望にあふれています。
命の尊さを訴える本作は、6000文字の掌編とは思えない読みごたえ。
ぜひ読んでみてください!