第5話 Châtaigne

栗の実なかに 心を一つ置いている

隠したわけではないけれど

イガと堅い瞼からは

時節の嗜み方をしる


ところで

なぜここに置かせてくださったのですか


この色をさほど好まない君たち人間だけれど

僕らはさほど君たちを厭うてはないのだ

好きも嫌いもないのに

痛い思いをさせて 突き返そうなんて

思うはずないだろう


私は一つの告白をおとした

“私は よほどあなたが好きだから

ここへきたのです”


栗の実は一つ囁いた

“それを知らないと思ったかい”


きいてみたかったのさ、君からその言葉を


秋の入り口には

ちいさないじわるが花咲くのね







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童詩集『colors』 雨宮テウ @teurain

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