第20話:深夜に姉妹で仲良く話していく……(瑠香視点)

 とある日の深夜。


 私は自分の部屋で朱音と一緒にとある事について話し合っていた。もちろんサークルについての話だ。


「……やっぱり全部嘘だったわね」

「うん、そうだね。やっぱり先輩があんな事をする訳ないよね」


 ここ最近のサークル室での会話をずっと聞き続けてきた私達はそう結論付けた。やっぱりあのゴミカス共が言ってきたのは全部嘘だったようだ。


「えぇ、そうよね。でも全部嘘で本当に良かったわ。沢城君が私以外の女と毎日逢瀬を楽しんでたなんて話が本当だったらショックで死んでしまう所だったもの。ふふ、まぁでも普通に考えたらそんなのあり得ないわよね。だって沢城君が私以外の女に劣情を抱くわけなんてないもの」


 グループLIMEでそんな事をゴミカスが言ってきた時には流石に頭が真っ白になってしまったけど……でもそれが全部嘘だという事がわかって私はホッと安堵していった。


「ちょっとお姉ちゃん何言ってるの? 先輩とは私が付き合うんだよ? 先輩は私のモノなんだからお姉ちゃんには渡さないよ??」

「あら、流石にそれは聞き捨てならないわね? 沢城君とは私が付き合うのよ? だってあんなにも優しくて素敵で頼もしい男の人なんて他に絶対いないもの……だから私はあの人以外と付き合うなんて絶対に考えられないわ」

「うんうん、それは本当にそうだよね。先輩はいつも私の事も本気で心配してくれるし、困った事があったらいつも助けてくれるもん。ふふ、あんなにも優しい男の人なんて今まで見た事が無かったなぁ……」

「うん、そうよね。ふふ、本当に沢城君って……いつも私達にすっごく優しいのよね」


 本当に沢城君はとっても優しい人なんだ。どれだけ私達が身体を使って色仕掛けをしても全然なびかないし、むしろ私達の事を本気で心配してくれるんだ。それが本当に嬉しかった。


 私も朱音と同じように街に出かければ頻繁にナンパやスカウトと出くわす事が多々あった。でもそんなナンパをしてくる男達は決まって皆身体目当だった。だってじろじろと胸や足を眺めて来るいやらしい視線をいつも浴びていたから。


 だから私も朱音と同じように……やっぱり男なんて皆ケダモノなんだと私も子供の頃からずっとそう思って生きてきた。


 でも沢城君だけは違った。沢城君はいつも私の事を全力で守ってくれたり、庇ってくれたりした。そして……私の身体をいやらしい目でジロジロと見つめたりは絶対にしてこなかった。


 それが私にとって何よりも嬉しかった。沢城君だけは私の外見ではなく、内面をしっかりと見てくれているんだっていう事が知れて……私は泣きそうになるくらい嬉しく思ったんだ。


 だからこそ私は……そんな紳士的な優しい心を持っている沢城君に全力で惚れていったんだ。彼だけは他のケダモノ達とは違って本物の男性なんだと心の底から惚れこんでいったんだ。


 そしてそんな彼になら私も大事なモノを全て捧げられると思った。きっと私がそう思ったように朱音も同じ事を思ったんだろうね。ふふ、だって私達は血の繋がった姉妹だもの……だから好きな男の人が一緒になってしまう事だってあるわよね……。


「ふふ、しょうがないわね。えぇ、それじゃあ姉妹仲良く……まとめて一緒に沢城君に愛して貰いましょうね?」

「うん、そうだね、お姉ちゃん。それじゃあ姉妹仲良く二人まとめて先輩に結婚して貰おうね?」

「えぇ、そうしましょうね。くすくす」


 そう言いながら私達はくすくすと楽しく笑みを浮かべ始めていった。


「ふふ、それじゃあ私の生まれてくる赤ちゃんは男の子がいいなぁ。きっと先輩と私の子供なら活発で元気な子が生まれるはずだよね。お姉ちゃんはどうかな?」

「うーん、私は赤ちゃんは女の子が欲しいかなぁ。だって沢城君と私の子供なら……ふふ、きっと誰よりも聡明で心優しい子が生まれるはずだもの」

「あぁ、うんうん、きっとそうだよ。お姉ちゃんと先輩の子供なら誰よりも優しくて可愛い女の子が生まれるはずだよー」

「うん、ありがとう朱音。そういう朱音こそ、沢城君と朱音の子供ならきっと誰よりも明るく元気で素敵な男の子が生まれるはずね」

「ありがとうお姉ちゃん。ふふ、そうだといいなぁ……」

「えぇ、そうだと嬉しいわよね……くすくす」


 私達はそう言いながら恍惚とした表情で自分達のお腹周りを優しく撫でまわしていった。いつか私達のここに……沢城君との子が宿ってくれるのよね……。


「ふふ、それじゃあ早くここに……私達の赤ちゃんのお部屋に沢城君の子種を沢山注いで貰わないとだね……?」

「うんうん、そうだね。ふふ、先輩とだったら私……幾らでも先輩の赤ちゃん産んであげたいなぁ。でも本当に大丈夫かな? 先輩って物凄く真面目な人だからさ……私達二人の事をちゃんとまとめて愛してくれるかな……?」

「ふふ、そんなの絶対に大丈夫よ。だって彼はとても優しい人だから。だから私達が全力で沢城君に対して深い愛情を注いでいけば……きっと彼もそれを受け入れて私達を二人まとめて一緒に愛してくれるはずよ」

「そっか。うん、そうだよね。ふふ、だって先輩はとても優しい人だもんね。それじゃあ二人で仲良く一緒に……先輩に愛して貰おうね、お姉ちゃん」

「えぇ、もちろん。私達はこれからもずっと一緒よ、朱音……」

「うん、お姉ちゃん……」


 そう言って私達はぎゅっと手を握りしめ合っていった。


「ふふ、それじゃあまずは……沢城君に仇なすゴミを始末しないとね?」

「うん、そうだよね。先輩の名誉を傷つけるなんて絶対に許せない事だから……さっさと消えて貰わないとだよね」

「ふふ、そうよね。あんなゴミカス共のせいで沢城君の名誉が傷つけられたなんて本当に許せないわよね。うん、それじゃあ……サクっとやっちゃいましょうか」

「うん、そうだね。サクっとやっちゃおうよ」


 そう言って私たちは手をぎゅっと握りしめたままゆっくりと楽しく笑みを浮かべ始めていった。


「「くすくす……」」

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