第4話 妖狐の里へ
圧倒的なチカラの風磨に手も足も出なかった颯真と眞白…。
未來の決断により生命は落とさずに済んだ。
どこに連れ去られたのかもわからなかった…。
風磨が復活した事を知った夜白は心中穏やかではなかった…
だが妖力を封じてる夜白には立ち向かう術がなかった。
「姉さま…ごめんなさい…。」
「眞白のせいじゃないわ…。」
「でも、まさか風磨が目覚めたなんて…母さまの封印を解くなんて…。」
「解いたんじゃない…解けたんだよ…人間が封印していた場所を壊したから…。」
「颯真…目が覚めたのね…良かった。」
オレはあれから3日寝たままだったらしい…ケガだけはチカラが無くても
自然治癒力は高いみたいだな…。
折れた腕も痛くない…。
やっぱり未來は戻ってないんだな…。
あれは夢であって欲しかった。
とりあえず今のオレにはどうすることも出来ない…。
いつもの様に学校に行くことにした。
「いってきます…。」
「ご飯?食べないの?」
「あ、ごめん…いらない。」
クラスに居ても居場所がない気がしていた…クラスメイトの視線が痛い…。
「颯真くん。」
「あ、委員長か…なんだよ?」
「なんだよってアンタこそなんなんです?」
「あ?」
「未來ちゃんまだ出て来れないんです?」
未來はもう来ないよ…。
などと言えるわけもなく。
「委員長には関係ないだろ?」
「最近、湊くんとも一緒に居ないし…。」
「うるさいんだよ!!」
ザワザワ…。
何だよアイツ…。
「なによ…友達の心配しちゃいけないの!?」
うるさい!うるさい!うるさい!!
「何も知らないくせに!」
ガタッ…。
「逃げるな!バカ颯真!!」
オレは逃げだしてしまった…。
心配してくれた委員長に八つ当たりして怒鳴り散らしてみっともなく惨めで
居ても立ってもいられなかった…。
ただ、がむしゃらに走った・・・。
気がつけば親父と母さんが好きだったという展望台に来ていた。
「くそくそくそぉ〜〜〜!!」
「颯真…。」
「……!?」
「何だよ湊かよ…何しに来た?」
「…。」
「オレを笑いに来たのかよ。」
「いや、あの…この前はごめん!」
「謝る相手が違うだろ…。」
「おまえの心無い言葉で姉貴は…!」
「未來ちゃんがどうかしたのか!?」
「もう…おまえには関係ない事だ。」
ドン!
「…っ!!」
また、八つ当たりだ…。
どうしてオレは…。
おれたちに構うな…。
・
・
もう使われてない廃墟になってる
神社の本殿に潜り込んでいた。
誰とも話したくなかった。
いつの間にか寝てしまった…。
『颯真…どうした?』
え?親父?
『元気だったか?』
親父がオレの夢に出てくるなんて
どういう風の吹き回しだよ!
『なんだ笑えるんじゃないか…。』
え?笑ってる?オレが?
『しょぼくれた顔たからどうしたと思ったが、大丈夫なようだな。』
そうでもないよ…。
『ん?どうした?』
ダメなんだよ…どう頑張ってもオレには何も守れない…。
姉貴みたいなチカラがオレには無いんだよ…!!
『そうか…颯真ばあさんの所に行け』
え?
『神社の奥の竹藪の更に奥・・・行けばわかる…。』
そこに・・・妖狐の里が?
『そこにおまえが欲しいものがあるはずだ…。』
オレの欲しいもの…!
わかった行ってみるよ親父!
『頑張れよ・・・父さんと母さんの子なんだ胸を張って生きろ!』
ありがとう…。
初めて父の優しさに触れた気がした・・・。
オレは思い違いをしていたのかも知れない。
「夢か・・・いつのまにか寝てしまったんだな…。」
「でも…行ってみるか・・・妖狐の里へ・・・。」
その頃、湊も颯真の父に会っていた・・・。
おれは…なんてことをしたんだろ・・・。
未來ちゃんが特別なチカラを持ってることを知ってたのに…。
それを…おれは!!
キミが湊くんだな?
「え?」
「あなたは?」
颯真と未來の親父だ・・・。
「え・・・でもお父さんは小さい頃に亡くなった・・・と。」
まあそういことだ。
湊くんキミに頼みがあって来たんだ・・・。
「頼み・・・?」
未來を救って欲しい。
「未來ちゃんを!?おれが・・・!?」
「でも、おれは未來ちゃんを傷つけてしまった…救けてくれたのに。」
バケモノ・・・か?
「・・・・・・。」
言葉は刃物だってオレも良く言われてた・・・。
ときには人を傷つけるかも知れない。
でも、気持ちを伝えられるのも言葉なんじゃないか?
「・・・・・・。」
未來にはキミが・・・湊くんが必要なんだ…だから頼む!
「おれに出来ることなんて・・・何も・・・。」
古い神社は知ってるな?
「はい・・・颯真と未來ちゃんと小さい頃よく遊んでた場所・・・。」
そこに行け・・・道はオレが開いておく。
「え・・・?」
行けばわかる・・・自分を信じろ!
そう言って颯真の父は去った・・・。
「なんだったんだ・・・?」
「未來ちゃんをおれが救う?そんなことできるわけが・・・。」
大丈夫だ!
「そうですね・・・行ってみます!」
・
・
・
颯真は意を決して祖母白夜のいる妖狐の里へ向かった・・・。
たしか・・・この竹藪の向こうって言ってたよな・・・。
『お待ちしておりました・・・颯真さま。』
長い黒髪でキツネの面をつけ白装束を着た女の人・・・。
母さんから聞いたことがある・・・この人はたしか・・・。
『はい、静流でございます。』
え・・・?おれ今何か喋ったか?
『いいえ、颯真さまは何も仰ってません。』
そうか・・・これが読心術ってやつだな・・・。
『はい。』
「オレは、ばあちゃん・・・いや白夜様に会いたいんだ!」
『はい、存じております・・・ですからお迎えに来ました。』
ザザザザザ・・・。
そう言うと竹藪が急に開け道が出来た・・・。
普段はだれも行けないように隠されていたようだった。
『さ、参りましょう。』
「う、うん・・・。」
この先に母さんの育った里があるんだ・・・。
しばらく歩くと森の中に入った。
オレはたぶん初めて行くはずなんだが懐かしさを感じていた・・・。
まるで・・・ここにずっと住んでいたかのような。
あれ・・・?
あの古めかしい神社は・・・?
『着きました・・・。』
「ここが・・・妖狐の里!?」
大自然に囲まれ小高い山々がいくつもあって大きな池?湖?。
大きな窪みが見える・・・。
だが家らしきものはひとつもない・・・。
本当にここが?
『白夜様はこの先の沼のほとりにおります。』
それじゃ行ってくるか・・・。
第5話につづく・・・。
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