第38話:新たな始まり
Reader-アンドゥ
「……オルター様」
「なんじゃ、いたのか」
高価なレザー製のキャリーチェアに身を委ね、陰気を吹き飛ばそうとしているのか、床を蹴りくるくると回る我が主人。気分転換にもならないのか、舌打ちをした後すぐにやめてしまった。
「あいつらの、様子はどうじゃ?」
「アマネ隊、及びエストックですね?」
「ふん、わしのシワを増やしおって」
「昔と変わらずお綺麗ですよ」
「やかましい」
相当気が立っているな、ということを理解しつつ、現状を報告する。
「現在資料室にて、量産型用拡張メモリーについての記述にアクセスした形跡が残っています。しかし依然他の同系資料にも手を伸ばしていることから、手がかりは見つかっていないかと」
「ふん。わしが探して見つからなかったんじゃ、素人に覆されてたまるかい」
そう、オルター様は以前から———アスナ様が廃棄されるずっと前からその手の資料を読み漁っていた。
もう十数年仕え共にいるが、辞めたことは一度もなかった………あの日からを除いて。
「好きにしろ、と伝えろ。わしにはわしの考えがあるように、あやつらにもあやつらなりの考えがあるじゃろう。行動は逐一報告するように」
「かしこまりました、何処か行かれるのですか?」
「着いてこなくて良いぞ、つまらぬ場所なのでな」
「シタイ山脈じゃ」
◇◇◇◇◇
「ロイヤルキングパァンチッ!!」
「くそ! 頭痛が痛いみたいな名前なのに馬鹿みたいに強いんだけど!」
「ロイヤルキングパンチは拳の周りの大気をも支配するッ! 貴様がタタラを踏んだ理由は風圧によるものよッ!!」
あの日から毎日、イエルロとキングは暇さえあれば模擬戦を繰り返し、互いの癖などを学んでいった。
前線の呼吸が合わず瓦解すれば、そこから綻びが生まれ、たちまち全滅というシナリオを迎えかねない。頑張って欲しいところだ。
『———オルター様からの言伝は以上だ』
「『好きにしろ』、ですか……」
俺は今後の方針を定めるため、上官となってくれたオルターに指示を仰いだ。しかし、好ましい情報は何一つ得られなかった。
『昔調べられた文献を持ってきた。何かヒントがあるといいな』
「ありがとうございます!」
『そして、アスナ様を瀕死まで追い込んだ下手人も気になると『ガガッ』だ。その調『ピ——』aも並行してすs『ガッガガガピ————』』
「アンドゥさん?」
電波が悪いのか、不協和音を流しながら再接続を試みる通信機。
しかし———
『あー、あー、てすてす。聞こえてるか?』
「……誰だ?」
『誰……か。名前なんてとうの昔に忘れたが、お前らにわかるように話してやると……………
『『
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ソシャゲの量産型に転生したので、理想の意味深キャラを演じながら主人公たちを見守ることにする。 涙目とも @821410
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