第八場。

  誰も居なくなったところへ、少女アウローラがランプを手に現れる。

  落ちていた紙を拾い上げる。

  そこへ露天商が通りかかる。


スレング:(露天商)美味しいパンは如何ですかぁ?

アウローラ:お一つ貰えるかしら。お代はこれで(と、ランプを渡す)。

スレング:(露天商)……毎度ありぃ。


  アウローラ、パンを受け取る。

  そこにカウアドリが現れる。


カウアドリ:全く酷い目に遭ったって奴ですよぉ、もうしばらくは、ガキをみたくねぇや。


  カウアドリ、アウローラに気が付く。


カウアドリ:お前、なんかどっかで見たことますね……。


  アウローラ、カウアドリに近付いていくと、襟元を掴む。


アウローラ:私のこと、知ってるんですか。

カウアドリ:ん? お嬢ちゃんよぉ、何掴んでるんです皺になるじゃぁ……ん? いや、待てよおお嬢ちゃん、ああ! 飛行船! ……ひぃっ! お化け! 

アウローラ:お化け?

カウアドリ:お、俺は悪くねぇ!

アウローラ:ねぇ、どうしたの?

カウアドリ:は、放すんですよぉ、その手!


  カウアドリ、アウローラを突き飛ばそうとして自分が転ける。

  尻餅をついたカウアドリ、立ち上がると走り出す。

  出てきたクランクにぶつかる。

  アウローラ、物陰に隠れる。


カウアドリ:てめぇどきやがれ!

クランク:あ? なんだその態度は! 俺が行かなかったらまだ牢屋の中だったのに!

カウアドリ:お化けだ!

クランク:お化け? 何言ってんだお前。

カウアドリ:お化けがいるんだよ!

クランク:どこにいるんだよ。

カウアドリ:そこに!

クランク:どこだ?

カウアドリ:い、いねぇ! いたんだ、そこに!

クランク:ねぼけてるのか?

カウアドリ:さ、さっきまでいたんですよ! ……てことは、ひぃ! やっぱモノホンのお化けじゃねぇですか!

スレング:(の声)おい何の騒ぎだ!

カウアドリ:あ、まずい、旦那だ! おい、逃げますよ!

クランク:ちょっと待て、どうしたんだよ!


  カウアドリ、去る。


クランク:お化け? ……何なんだあの男。


  クランク、去る。

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