26

天気は今日も良かった。

行きたくない気持ちも忘れるぐらいのトレッキング日和だった。

ジーンズにスニーカーをはいて出かけた。


待ち合わせの駅には林君がすでに来ていた。

私と同じような恰好をしている。

顔色はいいようだ。


「もうインフルは大丈夫?」

「ごめんなさい。普段病気になんかならないから油断してたかもしれない。」

前よりも会話がスムーズに進む。


「いい天気ね。」

「よかった。雨にならなくて。」


電車に乗り目的駅まで揺られた。

電車の中でも会話が途切れることはなくなっていた。


結構な人が乗っている。

目的駅でも多くの人が降りた。

みんな同じ方向に向かう。

ふたりきりにはならなさそうだ。


会話が弾むようになり、それぞれの学生時代の話や、タブーにしていた

会社の話も気軽に話せるようになった。


「1年後輩にちょっとどんくさい子がいるの。」

「ああ、それ聞いたことある。」

「え、誰から聞いたの?」

「○○さんが言ってた。」

「そうかあ。なんて言ってた?」

「いつもあこさんに叱られてるって。」

「えー、恥ずかしい。でも、ほんとにね、困った子なの。」

「なんとなく叱ってるところ想像出来るよ。」

「やだあ。」


竹宮君の話で盛り上がってしまった。

今頃くしゃみしてるわ。

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