25

次の週。

土曜日が近づくにつれてそわそわする。

木曜に連絡があった。

完治しました。と来た。

一応インフルエンザだったらしい。

わざわざ調べたわけではなかったけど、たまたま営業の人から聞いた。


一度はぐらかされた分そわそわ度が増している。

これじゃあいけないと思って金曜日にさきおとお食事。


「さきおはさあ、男子から声かけられないの?」

「全然。」

「おかしいよね。サブロー君以外見る目がないわよね。」

「私にはわんころもがいるから。」

「もう。そんなこと言ってると。」

「ずっとひとりでいることになる。でしょ。」

思わずためいき。

さきおには幸せになってもらいたいなあ。


「さきおには私がいるでしょ。」

「そうね。」と言ってにこっと笑う。


林君に慎重になっているのは、トラウマじゃなく、さきおかもしれない。

という思いは最初からあった。

もし林君と付き合うことになったら、さきおと会う機会はずっと減ってしまうだろう。

そのことは最初から気がかりだ。


さきおも同じ思いだと思っているけど、さきおは何も言わない。

それはさきおのやさしさなのだけど、何も言わないがゆえにかえって私を苦しめる。


ああ、急に明日行きたくなくなってきた。

インフルエンザにでもなろうかなあ。

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