悪役貴族の持つ魔導書として転生してしまった
蜂月八夏
第1章
第1章 プロローグ 禁断の魔導書を見つけてしまった悪役貴族の少女
その少女は、学園で暴れた罰として、倉庫の掃除を父親に命じられ仕方なくその倉庫に入っただけだった。
平民の癖に貴族の自分に偉そうな口を聞く女生徒に制裁を与えてやっただけのつもりだった。
しかし、結果は惨敗。
そして学園での行いの罰として、倉庫の掃除を言い渡された。
そして少女が倉庫の奥底で見つけたとある紫色の本。
埃を被り、厳重に封がされているその魔導書。
好奇心を抑えられずその鍵を開けて開いてしまった。
その瞬間、魔導書が怪しい紫色の魔力を放つと同時に宙に浮かび上がった。
魔導書が意思を持ち、自分から動くなどありえないはずだった。
魔導書の表紙の中心にある恐ろしい目玉がギョロリと少女を見つめていた。
少女は見つけてしまったのだ。
家の倉庫に封印されていた禁断の魔導書を。
〈俺を呼び覚ましたのはお前か?〉
「ま、魔導書がしゃべった——!?」
〈貴様の望みはなんだ?〉
「望み……?」
〈だが、言わずとも分かる。お前、周りを見返したいのだろう?〉
「!!」
魔導書の言葉を聞いた瞬間、少女の目の色が変わる。
〈お前を落ちこぼれと蔑み、平民の癖に魔法の才能を持ち、衆人環視の中で屈辱を与えた奴らに復讐がしたいか〉
「……したい」
少女は苦しそうな顔をしながら、両手を強く握りしめ、わなわなと震えながら言葉を絞りだすようにそう言った。
「あいつらを見返してやる。この私を馬鹿にしたことを、後悔させてやりたい!」
〈しかし、当然代償はいるぞ〉
「あいつらに勝つためなら、どんなことだってしてやるわ……!!」
〈いいだろう、契約成立だ。お前に勝つための力と知識を授けよう〉
——そして場所は誰もいない森の広場へと移る。
少女は魔導書の命の元、剣の素振りを行なっていた。
〈あと素振りを100回。そして魔力操作訓練を1時間やるぞ。
さすればやがてお前には最強の力が宿り、奴らを屠ることができるだろう〉
「……あの、ちょっといい?」
「あんた、禁断の魔導書なんでしょ?
なんで莫大な魔力を与えるとか、とんでもない魔法の力を与えるとかじゃないの?」
「……これって、ただの普通の鍛錬じゃないのぉぉおお!!」
少女は森の中でそう叫んだ。
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