第4話

「なあ、お前何してんの?︎ ︎ ︎邪魔。」


後ろから、声がした。

気がつかなかった。いつの間に居たんだろう。


「なんの用?」


この人もこの空を見に来たのだろうか。

彼かニヤっと笑う。


「死にに来た。」


………!

本当に言っているのだろうか。


「ほんとに、いってるの?」

「もちろん。」


彼の笑う様はまるで死神のようだ。


「だめ。」


私は慌てて彼を止める。


「なんで?」


心底不思議そうに彼が聞く。


「――残された、家族の事を考えて。」


私は、母の最後の言葉を覚えてる。


「愛してる。朝姫の未来には朝がきっとくる。」


嬉しかった。

お母さんは私を愛してくれてると感じた。

――それと同時に、無責任だと思った。

お母さんは私を残して死んでしまった。

最後まで、愛して欲しかった。

離れたくなかった。

なんで、なんで私を置いていったの…?


「おい、お前…」


知らぬ間に私の手の甲にはきらりと光るものがあった。


「お前、宝石病か?」

「…知ってるの?」


宝石病は非常に認知度の低い病気だ。

知る人は少ない。

一体、何故?


「…親が2人ともそれで死んじまったんだ。」


え。

2人とも?

本当に?


「じゃあな。」


君は下へ飛ぼうとした。


「待って!」


咄嗟に彼の腕を掴む。


「どうせなら、勝ってから死のう?」


私は彼に言った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る